イタリアの地域ごとの郷土料理を紹介


イタリアには、地域ごとに独自色が濃い郷土料理があります。同じイタリアでも、別の国の料理と錯覚してしまうほどの違いがあります。しかし、今回ご紹介する郷土料理を知っていただくことで、より深いイタリアンの世界を楽しむことができるでしょう。

 

―カンパーニャの郷土料理

スパゲッティ・アッラ・ペスカトーレ

スパゲッティ・アッラ・ペスカトーレは、日本でもペスカトーレの名でよく知られているパスタです。イタリア語で漁師の意味を持ち、もともとは漁師の料理でした。売れ残った魚介類を、トマトソースで煮込んだことが発祥とされています。日本のアラ汁と同等の大衆料理です。

一般的にはホタテ、ムール貝、エビ、イカ、アサリ等が使われています。しかし本来はレシピに決まりはなく、魚介類をトマトソースで調理した料理をペスカトーレと呼ぶケースが多いです。

トマトソースとオリーブオイルのさっぱりした口当たりが日本人の口にも合うため、多くの人に愛されているナポリの郷土料理です。

 

スパゲッティ・アッラ・ボンゴレ

日本ではアサリを多く使い、ボンゴレと呼ばれ親しまれているパスタです。本場イタリアではヨーロッパアサリの他に、ガリアハマグリなどの2枚貝がふんだんに使われています。

ボンゴレには2種類あり、1つはトマトソースを使ったボンゴレ・ロッソ(赤)。2つ目は、トマトソースを使わないボンゴレ・ビアンコ(白)です。なお最近では、バジリコを使ったボンゴレ・ヴェルデ(緑)や、イカスミを用いて作られるボンゴレ・ネロ(黒)などを提供するお店も増えています。

ボンゴレを作る際は、スパゲッティやスパゲッティーニ、リングイネといったロングパスタが使われています。

 

アクアパッツァ

アクアパッツァは、魚介類をトマトやオリーブオイル、ニンニク、イタリアンパセリ、水で煮込んだスープです。用いられる魚はスズキやタラ、メバル、タイといった白身魚であり、貝類は主にアサリやムール貝です。なお、好みによってタコやイカを加える時もあり、パスタやパンと一緒に提供されます。

 

―シチリアの郷土料理

アランチーニ

アランチーニは、シチリア名物のライスコロッケです。形がオレンジに似ているためアランチーニと呼ばれています。湯炊きした米に溶き卵とパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、塩コショウを混ぜて丸め、パン粉をまぶして揚げたものであり、直径は10センチ程度になります。

 

カポナータ

カポナータは、素揚げしたナスの甘酢煮です。揚げナスにトマトやタマネギ、ズッキーニ、セロリ、ケッパー等の野菜を加え、白ワインビネガーで煮込んで砂糖、塩で味付けしたシチリアの伝統料理です。なお、先述した野菜の他に、タコやエビなどの魚介類を入れるケースもあります。

 

マグロのオーブン焼き

シチリアではマグロの水揚げが豊富です。そのため、マグロをお肉の感覚で食べます。主に赤身をステーキにしたり、グリルにしたりして食べられています。

 

ナスのインボルティーニ

シチリアはナスも豊富にとれるため、ナスを使った料理が多いです。ナスのインボルティーニも、シチリアを代表する郷土料理。なおインボルティーニは、イタリア語で包むまたは焼くという意味を持っています。ナスにトマトやチーズ、ドライフルーツ、パン粉などを巻き込み、焼いたり煮込んだりすることが特徴です。

 

カンノーロ

カンノーロは数あるシチリアのお菓子の中でも最も有名です。薄く延ばした小麦生地を筒状に揚げ、リコッタチーズと砂糖を混ぜてクリーム状にしたものを中に詰めたものです。もともとは謝肉祭を祝って作られていましたが、現在は年間を通して食べられます。

 

―ピエモンテの郷土料理

野菜のバーニャカウダー

生野菜のスティックを、アンチョビ、ニンニクとオリーブオイルで作ったソースに浸して食べるピエモンテの郷土料理です。主にジャガイモやカリフラワー、セロリ、カブといった野菜が用いられます。またカルドゴッボ、トピナンブールなどの地元野菜を使う場合もあります。

 

ジャンドゥイオット

ジャンドゥイオットは、ボートを裏返した時の形にそっくりなことが特徴のチョコレート菓子です。砂糖、ココア、ヘーゼルナッツクリームを混ぜ合わせて作ります。

 

パンナコッタ

パンナコッタは、トリノが発祥のお菓子です。本来は生クリームがなく、牛乳の上澄みとデンプンを一緒に煮込んで固めた質素なものでした。現在では、生クリームと牛乳、砂糖を混ぜて火にかけ、ゼラチンで固めて作られています。

 

ビチェリン

ビチェリンはエスプレッソ、チョコレート、ミルク、ホイップクリーム、砂糖を用いて作られるチョコレート飲料です。トリノが原産の温かい飲み物であり、イタリア初代首相のお気に入りでした。

 

―ロンバルディアの郷土料理

ミラノ風カツレツ

ミラノ風カツレツは、リゾットと並ぶロンバルディア州ミラノの郷土料理です。子牛のロース肉に溶き卵とパン粉をまぶし、バターをたっぷり用いてキツネ色に揚げて作ります。高級なお店では骨付きのロース肉を使い、大衆向けのお店では、モモ肉の薄切りを使う場合が多いことが特徴です。肉の旨味に加え、パン粉とバターの香りが食欲をそそります。

 

ミラノ風リゾット

ミラノ風リゾットは、ミラノ風カツレツと共に有名な郷土料理です。サフランを用いて作られるため、黄金色であることが特徴の郷土料理です。結婚式を邪魔しようと、リゾットにサフランを入れ恐る恐る食べてみると、美味しかったというユニークな由来があります。

 

ミネストローネ

日本でもよく食べられている、さまざまな野菜を使ったスープです。ニンジン、タマネギ、セロリ、炒めたベーコンに香料を加え、くたくたになるまで煮込んで作ります。本場ではインゲン豆、トマト、ニンジン、タマネギが用いられ、好みによって米やパスタを加えて調理されることが一般的です。

 

ティラミス

日本でも馴染みの深い、定番のデザート。スポンジケーキにエスプレッソを染み込ませ、ロンバルディア州特産のマスカルポーネチーズに、カスタードソースを合わせたクリームを流し固めて作ります。ファミリーレストランでも手軽に食べられることから、現在でも絶大な人気を誇っています。

 

パネトーネ

パネトーネはミラノが発祥のお菓子であり、イタリア中でクリスマスの定番としても食べられています。パネトーネは室内保存の場合、3ヶ月~半年も保存が効くという、驚きの特徴を持っています。食べ方は少し焼いてから、生クリームやバニラアイスを添えることが一般的です。

 

―ヴェネチアの郷土料理

イワシのマリネ

ヴェネチアの郷土料理といえば、イワシのマリネが筆頭にあげられます。イタリアコース料理の前菜として、外せない料理です。イワシに衣をまぶして揚げ、タマネギ、ワインビネガー、レーズン等と和えてマリネしたものです。

 

イカスミパスタ

イカスミパスタは、ヴェネチアを代表する郷土料理のパスタであり、真っ黒な見た目が特徴的です。白ワインとトマトを少し加えることで、イカスミの生臭さが抑えられています。見た目に反して、非常に美味しいパスタとして人気があります。

 

―プッリャの伝統料理

ブッラータチーズとトマトのマリネ

水牛のモッツアレラチーズ、トマトをビネガーで和えたプッリャの伝統料理です。野菜や果物との相性が抜群で、合わせて食べると全く違った美味しさを楽しむことができます。

 

オレッキエッテ

オレッキエッテはプッリャ特産のパスタです。親指の4分の3ほどの大きさしかないショートパスタで、リコッタチーズとトマトソースに和えたうえで、ブロッコリと合わせて食べることが一般的です。

 

肉の盛り合わせ

鶏の肝臓や手羽を子羊の腸で巻いたり、カットした豚肉でリコッタチーズを包んだりしたものを、串刺しにして焼いたプッリャの郷土料理。ボリューム満点で、肉の旨味を直に感じることができます。

 

―まとめ

イタリア各地には、それぞれ独自色が強い郷土料理があることを知っていただけたかと思います。今回ご紹介した郷土料理を抑えておくことで、本場イタリアに行った場合に美味しい体験ができるかもしれません。