イタリアンを代表する料理のひとつであるピッツァですが、実は地方によって様々な異なる特徴を持っています。ここでは日本でも有名な「ナポリピッツァ」と「ローマピッツァ」の違いを見ていきましょう。
ーナポリピッツァ
・ナポリピッツァの特徴
ナポリピッツァは以下のような特徴を持ちます。
◆生地に厚みがあって柔らかい
◆生地のふちが高くかつ弾力がある
◆生地は手で延ばす
◆薪窯を使って90秒ほどの短時間で焼き上げる
◆具材は最低限
・ナポリピッツァと呼ばれるための条件
ナポリでは伝統的な技術と製法が世代交代によって変わることを防ぐため、「真のナポリピッツァ協会」が設立されています。そして一定の条件を満たさなければ、ナポリピッツァ名乗ることは許されていません。その条件とは、次のとおりです。
◆生地に使用してよいのは、小麦粉、水、イースト、塩のみ
◆生地は道具を使わずに手で延ばす
◆窯で直焼き
◆窯の燃料は薪・木くずのみ
◆仕上がった生地に額縁があること
◆材料は、エキストラヴァージンオイル、缶詰のトマトで、サンマルツァーノ種のみ、チーズは基本モッツアレラ。それ以外にはパルミジャーノ・レッジャーノ、グラーナ・パダーノ、ペコリーノも認められている
◆すべてのナポリピッツァにはバジリコの葉を乗せること
なお焼き上がりのナポリピッツァにも規定が設けられています。生地は、精製小麦粉が80%以上含まれていなければなりません。直径は35cmを超えてはならず、厚さは3mm、縁の高さは1cm~2cmと決まっているのです。
そして食べる際、持ち帰りや宅配は一切認められておらず、店内で焼き立てを食べさせなければならないなど、細かい決まりがあります。
以上の特徴を持ち、さまざまな条件を満たしたナポリピッツァは、食感がもちもちしておりまた、基本的な具材のみで作られていながらも、奥深い味わいを感じることができます。
ーローマピッツァの特徴
一方、ナポリから百数十キロしか離れていないのにも関わらず、ローマピッツァはナポリピッツァとは味、形や焼き時間などがまったく異なります。ローマピッツァの主な特徴は、次のようになります。
◆生地は非常に薄く、パリパリのサクサク
◆生地は綿棒を使って薄く延ばす
◆低温にて長い時間をかけてじっくり焼き上げる
◆具材の種類が非常に多い
◆生地にオイルを混ぜる
また具材は基本だけでも、トマト、モッツアレラチーズ、アンチョビ、バジリコ、ペコリーノチーズ、コショウといった、種類が多いことも特徴としてあげられます。他にもサラミ、チキン、唐辛子、タレッジョチーズ、ゴルゴンゾーラチーズといった、バラエティーが豊富です。
ーナポリピッツァとローマピッツァの違いとは
前の項目でナポリピッツァ、ローマピッツァそれぞれの特徴を説明しましたが、違いは次のとおりです。
・生地
ナポリピッツァは厚みがあり、ローマピッツァは薄い
・具材
ナポリピッツァはシンプル、ローマピッツァは種類が豊富
・食感
ナポリピッツァはもちもち、ローマピッツァはサクサク
以上のように、正反対の特徴となっています。具材を極力少なくすることで、生地の食感や風味を楽しむナポリピッツァに対し、多種類の具材を薄い生地のぎりぎりまで乗せることで、具材を楽しむローマピッツァという比較ができるでしょう。
ー本場のナポリピッツァを味わいたい方へ
本場のナポリピッツァが食べたい。そんな方へ、本場イタリアの有名ピッツェリアをご紹介します。
・ダ・ミケーレ
創業1870年の老舗。ピッツァの王道である、マルゲリータとマリナーラの2種類のみ提供しているピッツェリアです。常に満員ですが、12時前は比較的空いているのでおすすめです。なお、2012年に第2号店が、東京の恵比寿にオープンしています。
住所 Via Cesare Sersale, 1/3 –Napoli
電話 081.5539204
・ディ・マッテオ
1936年創業。ピッツァの他に、揚げピッツァ、揚げおにぎり、コロッケといった揚げ物も取り扱っています。お店はピッツァ激戦区といわれる、トリプナーリ通りの一角にあります。
住所 Via dei Tribunali, 94–Napoli
電話 081.455262
・プレジデンテ
ディ・マッテオの暖簾分けのお店で、ディ・マッテオと同じ通りにお店をかまえています。
住所Via Tribunali, 120/121–Napoli
電話 081.210903
・トリアノン
先ほどご紹介した、ダ・ミケーレの目と鼻の先にある老舗ピッツァです。店舗の規模が大きく、3階まであります。ピッツァの種類が豊富で、いつも満席の人気店です。
住所 Via Pietro Colletta, 44/46 –Napoli
電話 081.5539426
・スタリータ
特に地元ナポリの人から絶大な人気を誇るお店です。ヘーゼルナッツチョコクリームをかけたドルチェピッツァが絶品。ただし少し治安が悪い地区にあるため、人通りの少ない時間は避けたほうが無難です。
住所 Via Materdei, 27 Napoli
電話 081.5441485
ー本場のローマピッツァを味わいたい方へ
・ピッツェリア ダ バフェット
ローマピッツァの名店、ピッツェリア ダ バフェット。安倍総理が2014年6月にイタリアに訪問した際に立ち寄り、絶賛をしたお店として知られています。またここは頑固親父がオーナーとして切り盛りしていることでも有名です。「食べ終わったなら早く帰れ」といわんばかりの態度は、賛否両論。
触っただけで割れそうなほどのパリパリした生地が非常に美味で、小麦の香ばしい香りを堪能することができます。ダバフェットでは、マルゲリータとディアボロが絶品として大変人気があり、迷ったらこのどちらかを注文すれば間違いありません。なお、デザートのプリンも非常に美味しいので、ついでに食べていっても損はないでしょう。
住所 Via del Governo Vecchio 114 Roma Italy.
電話 06.686.1617
ホームページ http://www.pizzeriabaffetto.it/
ーまとめ
ピッツァの二大巨頭ともいえるナポリピッツァとローマピッツァ。それぞれが全く正反対の特徴を持っていることからも、ピッツァの奥深さと魅力を伺い知ることができます。日本のイタリアンレストランでもお店によって様々なピッツァを楽しむことができます。これまでピッツァを一括りにしていた方は、ぜひこの機会に色々なピッツァを食べ比べてみてはいかがでしょうか。