ピッツァといえばイタリアンを代表する料理の一つですね。しかし、一口にピッツァといっても、地域によって大きく異なった特徴を持っているということをご存知でしょうか?
日本においても、同じ料理が地方によって味付けが異なるといったことは珍しくありませんが、ピッツァはそれとは比較にならないくらい、地域ごとにユニークな特徴を持っているんです。早速紹介していきます!
◆ナポリピッツァ
イタリアを代表する、最もメジャーなピザの一つがナポリピッツァです。名前の通りナポリで発祥し、柔らかくもちもちとした生地とシンプルなソースと具材の構成が特徴です。
ナポリピッツァと呼ばれるには、「真のナポリピッツァ協会」が定めた厳密な基準をクリアしなければなりません。一部を紹介すると、生地は80%以上の精製小麦粉を使わなくてはならず、直径は35cm以下で厚さは4mm、まぜてよいものは水、海塩、イーストのみといった具合です。かなり厳格に基準が定められていることがわかりますね。
調理方に関しても、生地は必ず手だけで延ばす、薪を燃料とした窯の床面で直焼きする、コルニチョーネと呼ばれる額縁があるといった取り決めがあります。
ナポリピッツァはカットされていない状態で提供されることが多く、基本はナイフとフォークを使って、一口大ずつカットしながら食べます。一人で一枚食べきるのが普通で、取り分けられることはありません。
◆代表的なナポリピッツァ
・マルゲリータ
バジルの緑、モッツアレラチーズの白、トマトソースの赤をイタリア国旗に見立てたピザです。イタリア王妃のマルゲリータ・ディ・サヴォイアのお気に入りだったことから、彼女の名前がつけられました。
・マリナーラ
トマトソース、にんにく、エキストラヴァージンオイル、オレガノのみで作られている、シンプルなピッツァです。マリナーラはイタリア語で船乗りの意味を持っていることから、漁師風ピッツァとして認識されています。
・カルツォーネ
ナポリピッツァの生地を半月状にし、モッツアレラチーズ、生ハム、リコッタチーズ、サラミをトッピングしたものです。なおミラノでは、これを大量の油で揚げたものがあります。
◆ローマピッツァ
ローマピッツァは、ナポリピッツァと対をなす、非常にポピュラーなピッツァです。低温でて時間をかけて焼き上げたピッツァは、薄くサクサクとした生地が特徴。多種多様な具材を生地いっぱいに乗せて提供されます。生地を楽しむナポリピッツァに対し、具材を楽しむローマピッツァという言うこともできるかもしれませんね。
◆代表的なローマピッツァ
・クアトロ・フォルマッジ
代表的なローマピッツァとして、4種類のチーズと生乳が乗ったクアトロ・フォルマッジがあげられます。一般的にゴルゴンゾーラ、モッツアレラ、パルミジャーノ、タレッジョチーズの4つの組み合わせから作られます。ハチミツやメープルシロップをかけて食べると絶品です。
・ディアボラ
トマトソースやチーズ、バジリコといった定番に、サラミやチキン、唐辛子を加えたディアボラも、定番のローマピッツァの一つでしょう。
◆ミラノ風ピッツア
イタリア北部ではミラノ風ピッツアが一般的に親しまれています。ミラノ風ピザの特徴として、生地が5mmと非常に薄いため、カリカリとした食感であり、イタリアピッツアの中で最も生地が薄いのです。
また直径は40cm以上あり、薄い生地の上にソースやチーズ、きのこと、野菜といった山の幸が具材として用いられていることも特徴です。多くの具材が生地に乗っており、いわゆる「耳」の部分がほとんど無いため、手ではなくナイフとフォークで食べます。
◆代表的なミラノ風ピッツア
・ボスカイオーラ
山の幸であるきのこ類をふんだんに使ったボスカイオーラ。イタリア語で木こりを意味し、山や森で採れた食材を使うことから名付けられました。日本ではこれにツナを加えたものが一般的ですが、イタリアではきのこだけを使います。
◆その他の地域のピッツァ
・スフィンチョーネ(地域:パレルモ)
スフィンチョーネは、イタリア語でスポンジの意味を持ちます。ふかふかしたパンのような食感が大きな特徴で、イタリアのパレルモが起源のピッツァです。具材は主にトマトソース、オニオン、羊のチーズ、アンチョビ、パン粉などがあります。
日本ではそれほど知られていませんが、スフィンチョーネの登場は世界中のピッツァに影響を与えました。今では目にすることが珍しくはない極厚生地のピザも、スフィンチョーネが草分けと言えるでしょう。
・ピゾーロ(地域:シシリア)
シシリア近くの町、ソルティーノ名物のピッツァです。生地を生焼けにしたままカットし、生ハム、モッツアレラチーズ、トマト、ソーセージを詰め、オリーブオイルやパルメザンチーズを上からかけて再び焼くという、独特な作り方が特徴です。
◆番外編:アメリカのピザ
・シカゴピザ
シカゴピザというだけあり、シカゴが発祥で1943年に誕生したピッツァです。シカゴピザの特徴は、生地が非常に分厚いことです。これは前述のスフィンチョーネの影響を受けたと言われています。縁が非常に高く、中には具材が大量に詰められています。主な具材は、肉類、チーズ、野菜など、多岐にわたります。アメリカのピザだけあって、クラフトビールとの相性が非常に良いです。
・ニューヨークスタイルピッツァ
イタリアピッツァよりも大きく、生地が薄いクリスピータイプが大きな特徴です。具材はトマトソースにモッツアレラチーズのみと、非常にシンプルなことも特徴としてあげられます。
また、焼きあがったニューヨークスタイルピッツァに、生バジルとオリーブオイルをかけるとブルックリンスタイルになります。こちらはソーセージ、マッシュルーム、アンチョビ、チーズ、ペパロニなど、バラエティーに富んでいます。
◆まとめ
地域ごとに異なる特色を持つピッツァについてご紹介しました。イタリアは国土が南北に長く、19世紀までは大小様々な国に分かれていました。そのため、食文化も地域毎に多用な顔を持ち、それはピッツァにおいても同様です。日本のイタリアンレストランやピッツェリアでも、お店によって異なった地域のピッツァを楽しむことができるので、好みのものを探してみてはいかがでしょうか。