コラム

地域によって異なるピッツァの特色

ピッツァといえばイタリアンを代表する料理の一つですね。しかし、一口にピッツァといっても、地域によって大きく異なった特徴を持っているということをご存知でしょうか?

日本においても、同じ料理が地方によって味付けが異なるといったことは珍しくありませんが、ピッツァはそれとは比較にならないくらい、地域ごとにユニークな特徴を持っているんです。早速紹介していきます!

 

◆ナポリピッツァ

イタリアを代表する、最もメジャーなピザの一つがナポリピッツァです。名前の通りナポリで発祥し、柔らかくもちもちとした生地とシンプルなソースと具材の構成が特徴です。

ナポリピッツァと呼ばれるには、「真のナポリピッツァ協会」が定めた厳密な基準をクリアしなければなりません。一部を紹介すると、生地は80%以上の精製小麦粉を使わなくてはならず、直径は35cm以下で厚さは4mm、まぜてよいものは水、海塩、イーストのみといった具合です。かなり厳格に基準が定められていることがわかりますね。

調理方に関しても、生地は必ず手だけで延ばす、薪を燃料とした窯の床面で直焼きする、コルニチョーネと呼ばれる額縁があるといった取り決めがあります。

ナポリピッツァはカットされていない状態で提供されることが多く、基本はナイフとフォークを使って、一口大ずつカットしながら食べます。一人で一枚食べきるのが普通で、取り分けられることはありません。

 

◆代表的なナポリピッツァ

・マルゲリータ

バジルの緑、モッツアレラチーズの白、トマトソースの赤をイタリア国旗に見立てたピザです。イタリア王妃のマルゲリータ・ディ・サヴォイアのお気に入りだったことから、彼女の名前がつけられました。

 

・マリナーラ

トマトソース、にんにく、エキストラヴァージンオイル、オレガノのみで作られている、シンプルなピッツァです。マリナーラはイタリア語で船乗りの意味を持っていることから、漁師風ピッツァとして認識されています。

 

・カルツォーネ

ナポリピッツァの生地を半月状にし、モッツアレラチーズ、生ハム、リコッタチーズ、サラミをトッピングしたものです。なおミラノでは、これを大量の油で揚げたものがあります。

 

◆ローマピッツァ

ローマピッツァは、ナポリピッツァと対をなす、非常にポピュラーなピッツァです。低温でて時間をかけて焼き上げたピッツァは、薄くサクサクとした生地が特徴。多種多様な具材を生地いっぱいに乗せて提供されます。生地を楽しむナポリピッツァに対し、具材を楽しむローマピッツァという言うこともできるかもしれませんね。

 

◆代表的なローマピッツァ

・クアトロ・フォルマッジ

代表的なローマピッツァとして、4種類のチーズと生乳が乗ったクアトロ・フォルマッジがあげられます。一般的にゴルゴンゾーラ、モッツアレラ、パルミジャーノ、タレッジョチーズの4つの組み合わせから作られます。ハチミツやメープルシロップをかけて食べると絶品です。

 

・ディアボラ

トマトソースやチーズ、バジリコといった定番に、サラミやチキン、唐辛子を加えたディアボラも、定番のローマピッツァの一つでしょう。

 

◆ミラノ風ピッツア

イタリア北部ではミラノ風ピッツアが一般的に親しまれています。ミラノ風ピザの特徴として、生地が5mmと非常に薄いため、カリカリとした食感であり、イタリアピッツアの中で最も生地が薄いのです。

また直径は40cm以上あり、薄い生地の上にソースやチーズ、きのこと、野菜といった山の幸が具材として用いられていることも特徴です。多くの具材が生地に乗っており、いわゆる「耳」の部分がほとんど無いため、手ではなくナイフとフォークで食べます。

 

◆代表的なミラノ風ピッツア

・ボスカイオーラ

山の幸であるきのこ類をふんだんに使ったボスカイオーラ。イタリア語で木こりを意味し、山や森で採れた食材を使うことから名付けられました。日本ではこれにツナを加えたものが一般的ですが、イタリアではきのこだけを使います。

 

◆その他の地域のピッツァ

・スフィンチョーネ(地域:パレルモ)

スフィンチョーネは、イタリア語でスポンジの意味を持ちます。ふかふかしたパンのような食感が大きな特徴で、イタリアのパレルモが起源のピッツァです。具材は主にトマトソース、オニオン、羊のチーズ、アンチョビ、パン粉などがあります。

日本ではそれほど知られていませんが、スフィンチョーネの登場は世界中のピッツァに影響を与えました。今では目にすることが珍しくはない極厚生地のピザも、スフィンチョーネが草分けと言えるでしょう。

 

・ピゾーロ(地域:シシリア)

シシリア近くの町、ソルティーノ名物のピッツァです。生地を生焼けにしたままカットし、生ハム、モッツアレラチーズ、トマト、ソーセージを詰め、オリーブオイルやパルメザンチーズを上からかけて再び焼くという、独特な作り方が特徴です。

 

◆番外編:アメリカのピザ

・シカゴピザ

シカゴピザというだけあり、シカゴが発祥で1943年に誕生したピッツァです。シカゴピザの特徴は、生地が非常に分厚いことです。これは前述のスフィンチョーネの影響を受けたと言われています。縁が非常に高く、中には具材が大量に詰められています。主な具材は、肉類、チーズ、野菜など、多岐にわたります。アメリカのピザだけあって、クラフトビールとの相性が非常に良いです。

 

・ニューヨークスタイルピッツァ

イタリアピッツァよりも大きく、生地が薄いクリスピータイプが大きな特徴です。具材はトマトソースにモッツアレラチーズのみと、非常にシンプルなことも特徴としてあげられます。

また、焼きあがったニューヨークスタイルピッツァに、生バジルとオリーブオイルをかけるとブルックリンスタイルになります。こちらはソーセージ、マッシュルーム、アンチョビ、チーズ、ペパロニなど、バラエティーに富んでいます。

 

◆まとめ

地域ごとに異なる特色を持つピッツァについてご紹介しました。イタリアは国土が南北に長く、19世紀までは大小様々な国に分かれていました。そのため、食文化も地域毎に多用な顔を持ち、それはピッツァにおいても同様です。日本のイタリアンレストランやピッツェリアでも、お店によって異なった地域のピッツァを楽しむことができるので、好みのものを探してみてはいかがでしょうか。

 

ナポリピッツァとローマピッツァの違い

イタリアンを代表する料理のひとつであるピッツァですが、実は地方によって様々な異なる特徴を持っています。ここでは日本でも有名な「ナポリピッツァ」と「ローマピッツァ」の違いを見ていきましょう。

 

ーナポリピッツァ

・ナポリピッツァの特徴

ナポリピッツァは以下のような特徴を持ちます。

◆生地に厚みがあって柔らかい

◆生地のふちが高くかつ弾力がある

◆生地は手で延ばす

◆薪窯を使って90秒ほどの短時間で焼き上げる

◆具材は最低限

 

・ナポリピッツァと呼ばれるための条件

ナポリでは伝統的な技術と製法が世代交代によって変わることを防ぐため、「真のナポリピッツァ協会」が設立されています。そして一定の条件を満たさなければ、ナポリピッツァ名乗ることは許されていません。その条件とは、次のとおりです。

◆生地に使用してよいのは、小麦粉、水、イースト、塩のみ

◆生地は道具を使わずに手で延ばす

◆窯で直焼き

◆窯の燃料は薪・木くずのみ

◆仕上がった生地に額縁があること

◆材料は、エキストラヴァージンオイル、缶詰のトマトで、サンマルツァーノ種のみ、チーズは基本モッツアレラ。それ以外にはパルミジャーノ・レッジャーノ、グラーナ・パダーノ、ペコリーノも認められている

◆すべてのナポリピッツァにはバジリコの葉を乗せること

なお焼き上がりのナポリピッツァにも規定が設けられています。生地は、精製小麦粉が80%以上含まれていなければなりません。直径は35cmを超えてはならず、厚さは3mm、縁の高さは1cm~2cmと決まっているのです。

そして食べる際、持ち帰りや宅配は一切認められておらず、店内で焼き立てを食べさせなければならないなど、細かい決まりがあります。

以上の特徴を持ち、さまざまな条件を満たしたナポリピッツァは、食感がもちもちしておりまた、基本的な具材のみで作られていながらも、奥深い味わいを感じることができます。

 

ーローマピッツァの特徴

一方、ナポリから百数十キロしか離れていないのにも関わらず、ローマピッツァはナポリピッツァとは味、形や焼き時間などがまったく異なります。ローマピッツァの主な特徴は、次のようになります。

◆生地は非常に薄く、パリパリのサクサク

◆生地は綿棒を使って薄く延ばす

◆低温にて長い時間をかけてじっくり焼き上げる

◆具材の種類が非常に多い

◆生地にオイルを混ぜる

また具材は基本だけでも、トマト、モッツアレラチーズ、アンチョビ、バジリコ、ペコリーノチーズ、コショウといった、種類が多いことも特徴としてあげられます。他にもサラミ、チキン、唐辛子、タレッジョチーズ、ゴルゴンゾーラチーズといった、バラエティーが豊富です。

 

ーナポリピッツァとローマピッツァの違いとは

前の項目でナポリピッツァ、ローマピッツァそれぞれの特徴を説明しましたが、違いは次のとおりです。

 

・生地

ナポリピッツァは厚みがあり、ローマピッツァは薄い

 

・具材

ナポリピッツァはシンプル、ローマピッツァは種類が豊富

 

・食感

ナポリピッツァはもちもち、ローマピッツァはサクサク

 

以上のように、正反対の特徴となっています。具材を極力少なくすることで、生地の食感や風味を楽しむナポリピッツァに対し、多種類の具材を薄い生地のぎりぎりまで乗せることで、具材を楽しむローマピッツァという比較ができるでしょう。

 

ー本場のナポリピッツァを味わいたい方へ

本場のナポリピッツァが食べたい。そんな方へ、本場イタリアの有名ピッツェリアをご紹介します。

 

・ダ・ミケーレ

創業1870年の老舗。ピッツァの王道である、マルゲリータとマリナーラの2種類のみ提供しているピッツェリアです。常に満員ですが、12時前は比較的空いているのでおすすめです。なお、2012年に第2号店が、東京の恵比寿にオープンしています。

住所 Via Cesare Sersale, 1/3 –Napoli
電話 081.5539204

 

・ディ・マッテオ

1936年創業。ピッツァの他に、揚げピッツァ、揚げおにぎり、コロッケといった揚げ物も取り扱っています。お店はピッツァ激戦区といわれる、トリプナーリ通りの一角にあります。

住所 Via dei Tribunali, 94–Napoli
電話 081.455262

 

・プレジデンテ

ディ・マッテオの暖簾分けのお店で、ディ・マッテオと同じ通りにお店をかまえています。

住所Via Tribunali, 120/121–Napoli
電話 081.210903

 

・トリアノン

先ほどご紹介した、ダ・ミケーレの目と鼻の先にある老舗ピッツァです。店舗の規模が大きく、3階まであります。ピッツァの種類が豊富で、いつも満席の人気店です。

住所 Via Pietro Colletta, 44/46 –Napoli
電話 081.5539426

 

・スタリータ

特に地元ナポリの人から絶大な人気を誇るお店です。ヘーゼルナッツチョコクリームをかけたドルチェピッツァが絶品。ただし少し治安が悪い地区にあるため、人通りの少ない時間は避けたほうが無難です。

住所 Via Materdei, 27 Napoli
電話 081.5441485

 

ー本場のローマピッツァを味わいたい方へ

・ピッツェリア ダ バフェット

ローマピッツァの名店、ピッツェリア ダ バフェット。安倍総理が2014年6月にイタリアに訪問した際に立ち寄り、絶賛をしたお店として知られています。またここは頑固親父がオーナーとして切り盛りしていることでも有名です。「食べ終わったなら早く帰れ」といわんばかりの態度は、賛否両論。

触っただけで割れそうなほどのパリパリした生地が非常に美味で、小麦の香ばしい香りを堪能することができます。ダバフェットでは、マルゲリータとディアボロが絶品として大変人気があり、迷ったらこのどちらかを注文すれば間違いありません。なお、デザートのプリンも非常に美味しいので、ついでに食べていっても損はないでしょう。

住所 Via del Governo Vecchio 114 Roma Italy.

電話 06.686.1617

ホームページ http://www.pizzeriabaffetto.it/

 

ーまとめ

ピッツァの二大巨頭ともいえるナポリピッツァとローマピッツァ。それぞれが全く正反対の特徴を持っていることからも、ピッツァの奥深さと魅力を伺い知ることができます。日本のイタリアンレストランでもお店によって様々なピッツァを楽しむことができます。これまでピッツァを一括りにしていた方は、ぜひこの機会に色々なピッツァを食べ比べてみてはいかがでしょうか。

 

定番から変わり種まで!色々なピッツァを紹介

生地の上に具材を乗せて焼き上げるピッツァ。シンプルな料理なだけにそのバリエーションは非常に豊富です。この記事では定番のものから、日本では中々お目にかかれない珍しいものまで、ピッツァを一挙紹介!イタリアンが好きな方はぜひチェックしてみてください。

 

ーマルゲリータ

マルゲリータは、イタリアを代表するピッツァとも呼ばれ、シンプルなトッピングが特徴です。1898年、ピッツァ職人がイタリア国王とマルゲリータ夫妻を迎える際に、トマトソースの赤、モッツアレラチーズの白、バジルの緑を国旗に見立てて作りました。それを見たマルゲリータ王妃はそれを称え、自分の名を与えたことがマルゲリータの名前の由来です。

 

ーマリナーラ

マリナーラは、マルゲリータと並んでイタリアを代表するピッツァの1つ。トマトソースを使ったピッツァの元祖ともされ、こちらもシンプルなトッピングが特徴です。トマトソース、オリーブオイル、オレガノのみで作られ、ナポリの漁師が、常連のパン屋に作らせたのが始まりとされています。

 

ークアトロ・フォルマッジ

クアトロ・フォルマッジは、イタリア語で4つのチーズの意味を持ちます。その名の通り、4種類のチーズを用いて作られるピッツァです。お店によって使われるチーズは異なりますが、ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノ・レッジャーノ、モッツアレラ、タレッジョチーズを組み合わせることが一般的です。

タイプの異なるチーズが組み合わさることで、風味と香りに深みが増します。メープルシロップやハチミツとの相性は抜群で、かけて食べるとより一層美味しさが深まります。

 

ークアトロ・スタジオーニ

クアトロ・スタジオーニは、イタリア語で四季の意味を持つピッツァです。春夏秋冬それぞれに採れた野菜をトッピングすることが特徴で、主にアーティチョーク、黄パプリカ、ブラックオリーブなどの材料に、モッツアレラチーズやモルタデッラをのせて作ります。

 

ービスマルク

ビスマルクは、半熟卵とハムをトッピングしたピッツァです。名前の由来は、ドイツの宰相オットー・フォン・ビスマルクから来ています。ビスマルクは、目玉焼きを乗せたビーフステーキが好物であったことから、目玉焼きを乗せたピッツァは、以後ビスマルクと呼ばれるようになりました。なお、目玉焼きを使った料理がビスマルク風と呼ばれるのは、このためです。

 

ーボスカイオーラ

ボスカイオーラは、木こり風の意味を持ち、キノコ類をふんだんに使ったピッツァ。ポルチーニ、エリンギ、シメジ、舞茸などが用いられ、トマトソースやホワイトソース、ニンニクを合わせるのが一般的です。

日本ではキノコ類にオイルを切ったツナ缶を加えて食べる場合が多く、ツナを切り株に見立てているとも言われています。とてもヘルシーなことが特徴で、ダイエット中の女性にも人気があります。

 

ーペスカトーレ

ペスカトーレはイタリア語で漁師という意味を持つ、魚介類を贅沢に用いて作られるピッツァです。一般的にアサリ、イカ、エビをベースに作られ、日本でもよく食べられている人気のピッツァです。ニンニクとトマトソースとの相性はとても良く、ワインがすすみます。

 

ーディアボラ

ディアボラは、イタリア語で悪魔風の意味を持ち、トスカーナ州が発祥のピッツァです。トマトソース、チキン、チーズ、バジリコといった定番の食材に、唐辛子や辛味の効いたサラミをトッピングすることが特徴です。

悪魔風の由来は、2つ。1つ目は、鶏を開いた形がマントを広げた悪魔の容姿そっくりで、悪魔が焼かれることから来ています。2つ目は、赤く燃えるような料理との意味を含み、食べた人の舌が、焼かれたようになることから由来します。

 

ーバンビーノ

バンビーノは、イタリア語で幼い男の子、少年のことを指します。つまり子ども向けのピッツァという意味です。主にツナ、ベーコン、コーン、マッシュルームといった、子どもが好む食材がトッピングされているのが特徴です。調味量で用いられているマヨネーズと食材の相性がとても良いことが、子どもに人気の秘訣。

 

ーカルツォーネ

カルツォーネはピッツァ生地に食材を詰め、折りたたんで調理されるピッツァです。用いられる食材はトマトとモッツアレラチーズ、チーズが一般的で、ハム、サラミ、ソーセージ、野菜を加える場合もあります。生地に直接火が当たらないため、食材が焦げずにトロトロの状態で味わえるのが特徴。

 

ーマルゲリータ・ビアンカ

マルゲリータ・ビアンカは、トマトソースの代わりに生クリームを生地に塗り、ミルクチェリー(良質なミルクから作ったモッツアレラチーズ)、トマト、バジルをトッピングしたピッツァです。仕上げにかけるエクストラヴァージンオイルの香りが、食欲をそそる1品です。

 

ーロマーナ

ロマーナは、ローマが発祥のピッツァです。モッツアレラチーズ、アンチョビ、トマトソースを用いて作ります。シンプルながらも、アンチョビのアクセントが効いていて絶品です。

 

ーオルトラーナ

オルトラーナは、イタリア語で菜園の意味を持つピッツァ。その名の通り、ホウレンソウ、パプリカ、ナスなどの野菜をふんだんに使っていることが特徴。野菜とトマトソースがよく合います。

 

ーパルマ

パルマは、イタリアのパルマ産生ハムを指し、生ハム、モッツアレラチーズ、ルッコラ、トマトソースを用いたピッツァです。生ハムの塩分とピッツァ生地との相性が抜群です。

 

ーカラブレーゼ

カラブレーゼは、唐辛子料理が有名なカラブリアで誕生したピッツァで、辛味が強い特徴があります。主にナス、サラミ、唐辛子、トマトソースを用いて作られ、ビールによく合う一品です。

 

ーサルモーネ

サルモーネは、イタリア語でサーモンを指します。スモークサーモン、モッツアレラチーズ、ルッコラ、トマトソースをトッピングして作ります。全ての食材同士の相性がとても良いため、やみつきになること間違いなし。

 

ーカプリチョーザ

カプリチョーザはイタリア語で気まぐれの意味を持ち、決まったトッピングはありません。それぞれの好みや、日替わりで楽しむことができる特徴的なピッツァです。

 

ービアンカ

ビアンカは、イタリア語で白の意味。食材を一切トッピングせず、ピッツァ生地をそのまま焼いて提供されます。つまり、ピッツァ生地の風味を味わうことを目的としたピッツァです。マニアックなものですが、本当のピッツァ好きは知っている一品。

 

ーまとめ

メジャーなものからマニアックなものまでご紹介しましたが、ピッツァが好きな人には、一度は食べていただきたいものばかりです。中々お目にかかれないものもありますが、気になるものがありましたら、ぜひ一度ご賞味ください。

 

南北で違った食文化を持つイタリア料理

地域毎によって様々な特色を持つイタリア料理ですが、その長い国土から、特に南北で違いが顕著になります。イタリアンといえば私たち日本人にも馴染みが深いものですよね。しかし、実は日本で食べられるイタリア料理は南のものが多く、北イタリアの料理はそれほど知られていません。

この記事では南イタリアと北イタリア、双方の特徴と料理をご紹介します。

 

ー南イタリアと北イタリアの食文化がまったく異なる理由

イタリアの面積は30.1万平方キロメートルと、日本の5分の4程度ですが、(日本の面積は、37万平方キロメートル)南北に細長くのびているため、変化に富んだ地形をしています。またその地域によって風土や特産物も異なるため、料理に関してもかなりの差があるのです。

また、イタリアが統一される1870年まで、各地域はそれぞれが独立していた国家でした。そのため、地域毎に伝統的な食文化や独自の料理があります。特に南イタリアと北イタリアの料理を比べてみると、その違いがはっきりとわかってくるのです。

 

ー南イタリア料理の特徴と代表的な料理

・南イタリア料理の特徴

イタリア南部は地中海性亜熱帯地域に属し、オリーブやトマトの栽培に適した気候を持ちます。そのため南イタリア料理は、オリーブオイルとトマトをよく使うという特徴があります。ちなみに日本でも親しまれているトマトソースは、南イタリア最大の都市であるナポリにおいて18世紀に誕生しました。

またイタリア南部は地中海に突き出した形をしており、三方を海に囲まれているため、魚介類を使用した料理も多くなっています。

これらの食材をオリーブオイルやバジル、塩やペッパーを使ってシンプルに調理するのも南イタリア料理の特徴です。おそらく多くの方が思い浮かべるイタリアンのイメージと合致するかと思いますが、これは先述の通り、日本では南イタリア料理がメインに普及しているためです。

南イタリアのパスタは、乾燥パスタを使うことが一般的です。もともと乾燥パスタは、南イタリアで誕生したものであり、地中海性亜熱帯地域の特性である、長い日照時間と乾燥した空気を利用して作られています。そして昨今では、多種多様の乾燥パスタが生産され、多くの人に食べられているのです。

北部よりもパスタの消費量は多く、パスタのゆで加減も南下するほど、アルデンテが好まれる傾向が強くなります。

 

・南イタリアの代表的な料理

◆ナポリピッツァ

もちもちした食感が特徴で、具材をできる限り少なくし、生地本来の風味を楽しむことを目的とした料理です。バジル、モッツアレラチーズ、トマトソースを具材としたマルゲリータや、トマトソース、エキストラヴァージンオイル、にんにく、オレガノのみが具材である、マリナーラなどのいシンプルなピッツァが有名です。

 

◆アクアパッツァ

もとは漁師が船の上で食べていた、カンパニア州の郷土料理です。魚介類を水、トマト、白ワイン、オリーブオイル、にんにく、イタリアンパセリで煮込んだもので、海の幸が豊かな南イタリアを代表する料理といえるでしょう。

 

◆モッツアレラインカロッツア

モッツアレラインカロッツアは、カンパーニャ州の郷土料理で、パンの間にモッツアレラチーズ、アンチョビを挟み、卵をつけて焼いた料理です。パンからあふれるトロトロのチーズが絶品です。

 

◆オレッキエッテ

耳に似た形をしているパスタです。イタリアのプッリャ州にある郷土料理であり、長時間ゆでたブロッコリーを潰してオレッキエッテのくぼみに詰め、トマトソースで煮込んで食べることが一般的です。

 

◆フレーグラ

フレーグラは、硬質な小麦粉に水または卵を加え、手のひらで混ぜながら小さな粒上にし、それをトーストしたパスタです。ムール貝やハマグリ魚介のスープを加えて一緒に煮込む際に用いられます。

 

◆シャラティエッリ

イタリア南部にある、アマルフィ地方でよく食べられているパスタで、四角く平たい形状で、水と卵を使わず牛乳を使っているため、ツルッとした食感が特徴です。魚介類とトマトソースを絡めて食べます。

 

ー北イタリア料理の特徴と代表的な料理

・北イタリア料理の特徴

アルプス山脈に近い北イタリアは冬の寒さと湿度の高さが特徴で、酪農が盛んに行われています。寒波に負けないよう身体を温め、エネルギーを蓄える必要があるので、バターやチーズを大量に使った料理が多いことが特徴でもあります。北イタリアのチーズでは、長い熟成期間を必要とするパルミジャーノ・レッジャーノが有名です。

また北イタリアには水田も多いので、リゾットなどの米料理が豊富にあり、羊や牛肉を使った料理も有名です。

南イタリアとの大きな違いは、バター、生クリーム、チーズはお肉を多く用いるため、こってりとした濃厚な味わいの料理がほとんどの割合を占めることがあげられます。

先述したとおり、日本では南イタリア料理がイタリア料理として認識されているため、北イタリア料理はピンと来ない方が多いかもしれません。しかし昨今では、北イタリア料理を日本で専門に提供しているお店がある背景もあり、徐々に日本に浸透しつつあります。

 

・北イタリアの代表的な料理

◆オッソ・ブーコ

オッソ・ブーコはミラノやロンバルディア州を代表する郷土料理です。仔牛の後ろ足の骨付きすね肉を輪切りにし、トマトソース、白ワイン、ブイヨンや香味野菜でじっくり煮込むことが特徴です。なお、じっくり煮込んだ骨付きすね肉は、骨髄まで美味しく食べることが可能となります。

 

◆アニョロッティ・ダル・プリン

プリンとつきますがデザートではなく、ラビオリというイタリア北部ピエモンテ州でよく食べられている詰め物パスタです。アニョロッティの中にミンチした肉を入れ、野菜と一緒に煮込んで造ります。バターを使ったソースとの相性は抜群です。

 

◆ビステッカ

ビステッカとは牛や豚、鳥や馬などの肉をシンプルに焼き上げる料理で、イタリアンステーキともいわれます。最近では肉イタリアンという言葉も流行っていますが、その最たるものの一つと言えるでしょう。

 

ーまとめ

同じイタリア料理でも、南北で大きな違いがあることが分かりますね。南北に長い風土と多様な文化が入り混じった結果生まれた南北イタリア料理は、それぞれがそれぞれの魅力を持ちます。特に北イタリアの料理はあまり馴染みがない方が多いと思いますので、ぜひこの機会に味わってみてはいかがでしょうか。

 

イタリアンのお店の分類

イタリアンのお店を探していると看板に、店名の横に名称が入っているのを見たことがありませんか?それは、お店の格付けを示すものです。名称によって高級なお店またはカジュアルなお店など、ある程度想定することが可能です。最近ではそれほど厳格な違いはありませんが、知っておくことでいざという時、焦ることはなくなります。

 

―イタリアンでよく見かける名前の違いは?

イタリアンのお店でよく、リストランテ、トラットリア、オステリアなどの名称がついているものを見かけることが多いですが、これらはお店の格付けのようなものです。つまり名称によって、高級志向か大衆志向かの判断ができるのです。格付けとして並べると、次のようになります。

リストランテ→トラットリア→オステリア→タヴェルナ

 

日本ではそれほど明確な違いを設けていない

以上を見ると、リストランテが最も高級志向なイタリアンのお店ということになりますが、これらの格付けは、あくまでも目安です。そして日本では、それほど厳しい違いが見られないケースが多いのです。

リストランテと名乗っていても、リーズナブルで抵抗なく入れるお店もありますし、トラットリアの名称をかかげていても、非常に高級なお店の場合があります。つまり、名称だけではお店の格付けが分からないということです。しかし、格付けを知っておくことで、値段や服装を事前に想定できるメリットがあります。

以下より、イタリアンのお店の分類をご紹介します。

 

―主なイタリアンのお店の種類

・リストランテ

リストランテとはイタリア語で「レストラン」の意味を持ち、本来は星がつくような格式あるお店を指していました。有名なシェフがいたり、ドレスコードを要求されたりする場合がほとんどでしたが、最近では庶民的なお店も増えています。しかしリストランテと聞いたら念のため、正装を用意しておいたほうが無難です。

 

・トラットリア

もともとは、地方料理や家庭料理を出す個人経営のお店との位置づけでした。リストランテと比べるとやや安価で、カジュアル志向が強い特徴のお店です。日本に例えると、大衆食堂や大衆レストランのような位置づけで、ドレスコードを必要としません。しかし、前菜からメインに至るまで、きちんとしたコース料理を用意してあることが特徴です。また、ワインなどのアルコール類も楽しめます。なお、トラットリアの場合も実際に行くとかなりの高級店だったというケースや、予約をしないと入れないといった場合もあります。

 

・オステリア

オステリアは中世から存在していました。元は地方都市などにある中継地点の町に、宿泊施設と食事施設を兼ね備えた施設をオステリアと呼んでいました。現在では宿泊施設はありませんが、大人数で気軽に食事を楽しめるお店となっています。ワインの種類を豊富に取り揃えていることが特徴で、日本でいうところの居酒屋的なものに近いといえます。一方、地元の伝統的な料理を提供するお店がオステリアと名乗るケースも増えていて、こちらは高級なお店の場合が多いです。

 

・タヴェルナ

イタリア語で食堂の意味を持ち、オステリアと同様、大衆居酒屋的な位置づけが特徴のお店です。タヴェルを名乗っているお店の中には、調理済みのお惣菜を置いてあるケースもあります。

 

―その他お店の分類

ピッツェリア

その名のとおり、店内で出来たてを食べられるピッツァ専門店であり、サイドメニューを置いている場合もあります。ピッツェリアを日本にたとえると、ファーストフード店のような位置であり、気軽に食べることが可能です。イタリア料理店によってはピッツァを置いていないお店もありますが、一方でピッツェリア・リストランテと名乗っているお店もあります。こちらはピッツァの他にコース料理を食べることが可能です。

 

スパゲッテリア

スパゲッテリアはパスタ専門店です。パスタメニューの他にもサイドメニューもあり、若者向きのカジュアルな特徴があるお店です。

 

ロスティッチェリア

ロスティッチェリアは、揚げ物やパンなどを販売するお店を指します。立って食べることが特徴であり、日本ではB級グルメの立ち位置として認識されています。

 

バール

バールはアルコールやコーヒー、軽食を楽しめるお店であり、カウンターで立ち飲みをするスタイルが特徴的です。わかりやすく言うと、喫茶店とコンビニエンスストアをあわせもったお店です。夏場ではジェラートが置いてあるお店も多く、また公衆電話やお手洗いを備えているため、休憩所としても使用される場合もあります。なおバールは、イタリアで保護されている特有のお店であり、スターバックスなどの同業チェーン店がイタリアにはありません。

 

ワインバー

ワインを楽しむためのバーであり、料理に関しても、ワインと相性が良いものを中心に取り扱っていることが特徴としてあげられます。バールのようなカジュアルな雰囲気ではなく、落ち着いたシックな雰囲気の中でワインを楽しむ場所です。

 

カフェテリア

カフェテリアはお茶専門店です。紅茶や日本茶、中国茶など、多種多様のお茶が飲めることが特徴のお店です。飲み物を注文すると大抵の場合、クッキーが一緒についてきます。またカフェテリアの中には、さまざまな国の茶器が販売されており、購入できるお店もあります。

 

パスティッチェリア

バールでもケーキやお菓子を販売しているお店は、パスティッチェリアと呼ばれます。つまりお菓子屋・ケーキ屋さんのことです。こちらもバール同様、立ち飲みが基本となっています。

 

―まとめ

種類が多くて驚かれた方もいるかもしれませんが、先述したように明確な線引きはなく、名称だけで高級さをはかることはできません。あくまでも目安として頭に入れておくと、いざという時に役に立つかもしれません。

 

イタリアンとフレンチの違いを分かりやすく解説

「イタリアンとフレンチの違いがわからない…」そう感じたことはありませんか?今回は、食材や料理、マナーから歴史にいたるまで、イタリアンとフレンチの違いを分かりやすく解説していきます。読み終わる頃には、誰かに教えてあげたくなるかもしれません。

 

―実は、イタリアンとフレンチは元々一緒

フレンチのルーツをたどると、原点はイタリアンです。1533年、フランスのアンリ2世にイタリアのカテリーナ・デ・メディチが嫁ぎました。その際、料理人、料理の技術、調理法、マナー、食器にいたるまで、イタリアからフランスに持ち込みました。

またカテリーナは、ピエスモンテ(砂糖菓子)などのお菓子や、音楽や劇を楽しむコラシヨンなども広め、フランスの菓子文化に大きな影響を与えたと言われています。

なおそれまでのフレンチは、フォークはおろか、スプーンも使わずに手づかみで食べることが一般的でした。これを見たイタリア出身のカテリーナは嘆き悲しみます。そこでカテリーナは料理の向上を図るため、日夜晩餐会を開きました。今まで、肉の塊やドロドロなシチュー、ゆで野菜など、質素なものしか食べてこなかったフランス人たちはカルチャーショックを受けます。

その後、宮殿お抱えの料理人たちは料理の腕をみがき、料理に情熱を注ぎました。その努力もあり、盛り付け方法や調味料も格段に進歩することになったのです。

1700年代にはマヨネーズやフォアグラが登場し、この頃にフランス料理はオートキュイジーヌと呼ばれ、フレンチの原型が完成します。質素であったフレンチは、イタリアンとの出会いにより、世界三大料理と称えられるようになったのです。

つまりイタリアンはフレンチのルーツでもあり、元々は一緒と言っても過言ではありません。

 

―食材と料理の違い

イタリアンはシンプル、フレンチはアレンジ

イタリアンは主にオリーブオイルやバルサミコを使い、食材本来の味を重視している傾向にあります。郷土料理や地方色の強い料理を現在まで守り続けてきたため、このような特徴があるのです。

一方フレンチは、バター、チーズ、生クリーム、ダシをとってソースを作ったうえで使うなど、食材にアレンジを加える特徴があります。酪農がさかんなため、乳製品を使ったレシピが多いのです。フレンチは郷土料理や地方色の強い料理をベースにしつつ、新たな料理を生み出そうとする特徴があるともいえるでしょう。

 

料理の違い

フルコースの品目は、フレンチのほうが若干多いことがあげられます。これには理由があり、「イタリアへの対抗意識」からきています。イタリアンとの出会いがきっかけでフレンチは大きく進歩しましたが、「イタリアには負けたくない」というフランスのプライドから、あえてフルコースの品目を多くしたのです。

炭水化物に関して、イタリアンでは主にパスタやピザ、フォカッチャなどが用いられています。フレンチではフランスパンといったパン類が一般的です。ソースを使った料理が多いので、残ったソースをパンに浸して食べることも目的の1つです。

また料理に使われる肉の種類は双方に差はなく、魚介類の種類はフレンチのほうが多い傾向にあります。

 

―テーブルマナーは全く違う

フォークの扱い方

イタリアンの場合、フォークを右手に持ち替えることはいけない事とされています。しかし、フォークの背中に料理を乗せて食べることは問題ありません。なお、リゾットをたべる際もフォークを使いましょう。ピザに関しても、できる限りナイフとフォークを使って食べることが望ましいとされています。ただし、どうしても食べにくい場合、手づかみでも問題ありません。

一方フレンチでは、フォークを持ち替えても問題はありませんが、フォークの背中に料理を乗せて食べるのはマナー違反となりますので注意が必要です。

 

スプーンの扱い方

スプーンの扱い方にも違いが見られます。イタリアンはスープを飲む際、スプーンを手前から奥に運んで飲みます。スープの残りが少なくなったら、皿の手前を少し浮かせてから飲みやすくします。フレンチの場合は反対に、スープを奥から手前側にすくってから、皿の奥側を浮かせて飲むことがマナーです。なおスープを飲む場合、音を立てて飲むと非常に印象が悪いため、注意しましょう。

 

パンの食べ方

イタリアンのパンの食べ方は、一口大にちぎり、塩が少量入っているオリーブオイルにひたして食べることが正解です。なお、料理で残ったソースなどをパンにつけて食べることも問題ありません。

一方フレンチの場合、ちぎったパンにバターナイフで切ったバターをつけて、一口で食べることがマナーとされています。フレンチでは一般的に、デザートが運ばれてくるまでパンを食べても良いとされています。そして料理で残ったソースをパンにつける時は、パンをフォークで刺してからソースにつけて食べることが正解です。なお、イタリアンでサラダを食べる場合、自分でオリーブオイルやバルサミコ酢、塩をかけて食べましょう。

 

食事が終わったら

イタリアンの場合、料理を食べ終わったら、ナイフとフォークを身体と垂直になるよう、縦にして並べるようにしましょう。フレンチでは、時計の針3時の位置に身体と平行となるように、横向きにして並べることが正解です。

 

―共通のマナー

グラス・カラトリー

乾杯をする際、グラスをぶつけることは正しいマナーではありません。グラスを目の高さまで持ち上げ、アイコンタクトをすることが正解です。また。ワインを注いでもらう時は、グラスに触れないことがマナーとなります。カラトリー(ナイフ、フォーク、スプーン)は外側から順番に使いましょう。

 

ナプキン

ナプキンの使い方は、注文をしてから広げます。二つ折りにしてから膝の上に広げ、汚れた部分が相手に見えないように、汚れを内側へ隠すことがマナーです。

よくある間違いは、ナプキンがあるのに自分のハンカチなどを使ってしまうことです。これは、「この店のナプキンは汚くて使いたくない」ととられてしまい、悪い印象を与えてしまうので注意が必要です。

また、食事が終わった後、ナプキンをキレイにたたむことも控えましょう。理由は、「料理が美味しくなかった」というサインだからです。したがってナプキンは、軽くたたんでテーブルの上に置くことがマナーです。

 

―まとめ

イタリアンとフレンチの歴史を知り、違いを知ることで、料理を食べる際も恥をかかず済みます。そしてなにより、料理を一層楽しくいただくことができるでしょう。

 

イタリア料理の歴史と伝統

イタリア料理は、実に2000年もの歴史があり、当時から非常に高度な食文化を持っていました。しかしイタリア料理の歴史を知っている人はそう多くありません。歴史や伝統を知ることで、より一層イタリア料理に対しての理解を深めることができるはずです。

 

―イタリア料理の起源と食材の起源

イタリア料理の起源

イタリア料理の歴史は非常に古く、古代ローマ時代にさかのぼります。当時のローマ人は食事の時間を大切にし、1日3食を取りいれるなど、食事にかける時間を大切にしていました。

またその内の1食を、現代にあたるプリモ、セコンドに似たコースで構成することで、2時間から3時間をかけてじっくり堪能していたのです。さらに古代ローマ人は、満腹になった場合であっても、食べたものを意図的に吐き出して空腹状態をつくりまた食べるといったことを行っていました。そういった背景から古代ローマの哲学者セネカは、「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べる」と表現しています。

当時の主食は、プルスと呼ばれる小麦粉を煮込んで作られたお粥です。料理に使う調味料は、魚を発酵、熟成させて作った魚醤に酷似したガルム、サーパと呼ばれる甘味料やハチミツなどが用いられていました。そして裕福なローマ人たちの間で、優秀な料理人を呼び寄せ、作らせた料理を客に自慢するといったことが流行していたのです。

以上のようにイタリア料理は2000年前にもかかわらず、非常に高度な食文化を持っていたのです。そしてチーズや牡蠣はローマ遠征の際、兵士のスタミナ食として携帯されていました。そのことが発端として、ローマ帝国の発展とともに欧州各地に普及し、他国の追従を許さないほどの食文化の発展に繋がったのです。

 

食材の起源

一方、イタリア料理の発展の裏には、歴史の表舞台に出ない人々の努力もあります。そして料理に使われる食材も、他国からの影響を受けたからこそといっても過言ではありません。特にアラビア人との接触は、イタリア料理の進歩に対して大きな影響を与えたのです

たとえば、オレンジ、サトウキビ、米やサフランといった食材です。イタリアの料理人たちがこれら未知の食材に関心を抱いたことで、イタリア料理全般に刺激をもたらし、さらなる進化を果たしました。また他の食材を作るための農業も発展するなど、料理以外の分野も飛躍し、確固たる地位を築きあげたのです。アラビア人の影響によりその後、米は広大な水田地帯で大規模な生産が始まり、シャーベットも普及するようになったのです。

 

―イタリア料理のその後

古代ローマ帝国は、476年にゲルマン民族の侵略により滅亡し、その後も多民族からの侵略を受け続けることになりました。しかしイタリア料理の文化や技術は、衰退することなく受け継がれています。

 

パスタとトマトの出会い

12世紀から13世紀になり、現在のパスタの原型として、手打ちの生パスタが誕生しました。そして14世紀には、パスタを専門に生産する業者も現れるようになり、生パスタをスープに入れたり、ゆであげたパスタをソースにからめたりと、一般家庭にも次第に普及することになったのです。

そして15世紀にはパスタの元祖である、棒状の乾燥パスタが作られます。16世紀にもなると、パスタ圧力機械が発明され、従来手作りされていたものを押し出す製法に変わりました。そして大航海時代を背景に、ナポリにトマトがたどり着きます。トマトは当初は観賞用として扱われていましたが、ナポリ人たちが品種改良を重ねることによって、18世紀に食用として扱われるようになったのです。結果、パスタとトマトの組み合わせは一気に広まり、現在に通じるイタリア料理の原型を形成するまでになります。

19世紀になると人工乾燥機が発明され、パスタの生産性が大きく向上することになります。生産性が大きく向上することにより、欧州各国だけでなく米国まで輸出されるようになったのです。それに合わせ、1880年から1920年の間に400万人の南イタリア人が米国に移り住み、イタリアの食文化も輸出するようになりました。そして米国に移り住んだ南イタリア人を原点として米国にイタリア料理が広がり、現在ではアメリカの第2の国民食として認識されるまでになったのです。

 

日本のパスタ事情

パスタが日本に初めて登場したのは、幕末の横浜外国人居留地です。その後、明治時代には輸入パスタが食べられていましたが、それは一部の愛好家の間だけであり、また一般的な普及はしていませんでした。

昭和30年にマカロニが発売されたことで、一般人にも広く認識されるようになり、日本でも大量生産が始まったのです。そして現在では、スパゲティーと呼ばれ多くの日本人に食べられる料理になりました。

 

―現在のイタリア料理の食文化・日本のイタリア料理

主食はパンの地域がほとんどですが、イタリア北部ではトウモロコシの粉から作ったポレンタを食べる地域もあります。またイタリア南部はトマトを多く使用する傾向があり、北部はバターや生クリームを主体として使う傾向があります。そして沿岸部では魚を食べますが、内陸部で食べることはほぼありません。

一方で、食事にワインを合わせることは共通しており、基本的にその土地独自のワインが飲まれる傾向があります。またコーヒーの消費量が多いことも特徴で、エスプレッソやカプチーノ、カフェラテなどが好んで飲まれているのです。

なお現在のイタリア料理は世界中において、中国料理に次いで食べられている料理となっているのです。近年は、イタリア料理の習慣や文化の崩壊に危機感を感じたスローフード協会が、スローフードの概念を発信しています。そうすることで、イタリア料理の風味や豊かさを再認識してもらおうと、さまざまな活動をしているのです。以上のことによりこれからの時代もイタリア料理は、高度な食文化の発信基地といえるでしょう。そして2010年にイタリア料理は、ユネスコの無形文化遺産として登録されました。

 

日本のイタリア料理

イタリア料理は日本では、イタリアンやイタ飯と呼ばれて多くの人に認識されています。日本で認識されている特徴として、トマトやオリーブオイルを使った料理が多い傾向にあります。しかし実はこの特徴は、ナポリといった南イタリアの料理の特徴です。

先述したようにイタリア料理は、地域によって使う食材が異なります。したがってイタリア料理の総体としては、素朴な料理が多いといえるでしょう。

 

―まとめ

イタリア料理のテーブルマナーなどは知っていても、イタリア料理の歴史や伝統を知っている人はそう多くありません。しかしその歴史や伝統を知ることで、なぜこういった調理法をするのか、なぜこういった食材を使うのかなどが腑に落ちて理解することができるのです。したがって、知っておいて決して損ではないでしょう。

 

イタリアの地域ごとの郷土料理を紹介

イタリアには、地域ごとに独自色が濃い郷土料理があります。同じイタリアでも、別の国の料理と錯覚してしまうほどの違いがあります。しかし、今回ご紹介する郷土料理を知っていただくことで、より深いイタリアンの世界を楽しむことができるでしょう。

 

―カンパーニャの郷土料理

スパゲッティ・アッラ・ペスカトーレ

スパゲッティ・アッラ・ペスカトーレは、日本でもペスカトーレの名でよく知られているパスタです。イタリア語で漁師の意味を持ち、もともとは漁師の料理でした。売れ残った魚介類を、トマトソースで煮込んだことが発祥とされています。日本のアラ汁と同等の大衆料理です。

一般的にはホタテ、ムール貝、エビ、イカ、アサリ等が使われています。しかし本来はレシピに決まりはなく、魚介類をトマトソースで調理した料理をペスカトーレと呼ぶケースが多いです。

トマトソースとオリーブオイルのさっぱりした口当たりが日本人の口にも合うため、多くの人に愛されているナポリの郷土料理です。

 

スパゲッティ・アッラ・ボンゴレ

日本ではアサリを多く使い、ボンゴレと呼ばれ親しまれているパスタです。本場イタリアではヨーロッパアサリの他に、ガリアハマグリなどの2枚貝がふんだんに使われています。

ボンゴレには2種類あり、1つはトマトソースを使ったボンゴレ・ロッソ(赤)。2つ目は、トマトソースを使わないボンゴレ・ビアンコ(白)です。なお最近では、バジリコを使ったボンゴレ・ヴェルデ(緑)や、イカスミを用いて作られるボンゴレ・ネロ(黒)などを提供するお店も増えています。

ボンゴレを作る際は、スパゲッティやスパゲッティーニ、リングイネといったロングパスタが使われています。

 

アクアパッツァ

アクアパッツァは、魚介類をトマトやオリーブオイル、ニンニク、イタリアンパセリ、水で煮込んだスープです。用いられる魚はスズキやタラ、メバル、タイといった白身魚であり、貝類は主にアサリやムール貝です。なお、好みによってタコやイカを加える時もあり、パスタやパンと一緒に提供されます。

 

―シチリアの郷土料理

アランチーニ

アランチーニは、シチリア名物のライスコロッケです。形がオレンジに似ているためアランチーニと呼ばれています。湯炊きした米に溶き卵とパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、塩コショウを混ぜて丸め、パン粉をまぶして揚げたものであり、直径は10センチ程度になります。

 

カポナータ

カポナータは、素揚げしたナスの甘酢煮です。揚げナスにトマトやタマネギ、ズッキーニ、セロリ、ケッパー等の野菜を加え、白ワインビネガーで煮込んで砂糖、塩で味付けしたシチリアの伝統料理です。なお、先述した野菜の他に、タコやエビなどの魚介類を入れるケースもあります。

 

マグロのオーブン焼き

シチリアではマグロの水揚げが豊富です。そのため、マグロをお肉の感覚で食べます。主に赤身をステーキにしたり、グリルにしたりして食べられています。

 

ナスのインボルティーニ

シチリアはナスも豊富にとれるため、ナスを使った料理が多いです。ナスのインボルティーニも、シチリアを代表する郷土料理。なおインボルティーニは、イタリア語で包むまたは焼くという意味を持っています。ナスにトマトやチーズ、ドライフルーツ、パン粉などを巻き込み、焼いたり煮込んだりすることが特徴です。

 

カンノーロ

カンノーロは数あるシチリアのお菓子の中でも最も有名です。薄く延ばした小麦生地を筒状に揚げ、リコッタチーズと砂糖を混ぜてクリーム状にしたものを中に詰めたものです。もともとは謝肉祭を祝って作られていましたが、現在は年間を通して食べられます。

 

―ピエモンテの郷土料理

野菜のバーニャカウダー

生野菜のスティックを、アンチョビ、ニンニクとオリーブオイルで作ったソースに浸して食べるピエモンテの郷土料理です。主にジャガイモやカリフラワー、セロリ、カブといった野菜が用いられます。またカルドゴッボ、トピナンブールなどの地元野菜を使う場合もあります。

 

ジャンドゥイオット

ジャンドゥイオットは、ボートを裏返した時の形にそっくりなことが特徴のチョコレート菓子です。砂糖、ココア、ヘーゼルナッツクリームを混ぜ合わせて作ります。

 

パンナコッタ

パンナコッタは、トリノが発祥のお菓子です。本来は生クリームがなく、牛乳の上澄みとデンプンを一緒に煮込んで固めた質素なものでした。現在では、生クリームと牛乳、砂糖を混ぜて火にかけ、ゼラチンで固めて作られています。

 

ビチェリン

ビチェリンはエスプレッソ、チョコレート、ミルク、ホイップクリーム、砂糖を用いて作られるチョコレート飲料です。トリノが原産の温かい飲み物であり、イタリア初代首相のお気に入りでした。

 

―ロンバルディアの郷土料理

ミラノ風カツレツ

ミラノ風カツレツは、リゾットと並ぶロンバルディア州ミラノの郷土料理です。子牛のロース肉に溶き卵とパン粉をまぶし、バターをたっぷり用いてキツネ色に揚げて作ります。高級なお店では骨付きのロース肉を使い、大衆向けのお店では、モモ肉の薄切りを使う場合が多いことが特徴です。肉の旨味に加え、パン粉とバターの香りが食欲をそそります。

 

ミラノ風リゾット

ミラノ風リゾットは、ミラノ風カツレツと共に有名な郷土料理です。サフランを用いて作られるため、黄金色であることが特徴の郷土料理です。結婚式を邪魔しようと、リゾットにサフランを入れ恐る恐る食べてみると、美味しかったというユニークな由来があります。

 

ミネストローネ

日本でもよく食べられている、さまざまな野菜を使ったスープです。ニンジン、タマネギ、セロリ、炒めたベーコンに香料を加え、くたくたになるまで煮込んで作ります。本場ではインゲン豆、トマト、ニンジン、タマネギが用いられ、好みによって米やパスタを加えて調理されることが一般的です。

 

ティラミス

日本でも馴染みの深い、定番のデザート。スポンジケーキにエスプレッソを染み込ませ、ロンバルディア州特産のマスカルポーネチーズに、カスタードソースを合わせたクリームを流し固めて作ります。ファミリーレストランでも手軽に食べられることから、現在でも絶大な人気を誇っています。

 

パネトーネ

パネトーネはミラノが発祥のお菓子であり、イタリア中でクリスマスの定番としても食べられています。パネトーネは室内保存の場合、3ヶ月~半年も保存が効くという、驚きの特徴を持っています。食べ方は少し焼いてから、生クリームやバニラアイスを添えることが一般的です。

 

―ヴェネチアの郷土料理

イワシのマリネ

ヴェネチアの郷土料理といえば、イワシのマリネが筆頭にあげられます。イタリアコース料理の前菜として、外せない料理です。イワシに衣をまぶして揚げ、タマネギ、ワインビネガー、レーズン等と和えてマリネしたものです。

 

イカスミパスタ

イカスミパスタは、ヴェネチアを代表する郷土料理のパスタであり、真っ黒な見た目が特徴的です。白ワインとトマトを少し加えることで、イカスミの生臭さが抑えられています。見た目に反して、非常に美味しいパスタとして人気があります。

 

―プッリャの伝統料理

ブッラータチーズとトマトのマリネ

水牛のモッツアレラチーズ、トマトをビネガーで和えたプッリャの伝統料理です。野菜や果物との相性が抜群で、合わせて食べると全く違った美味しさを楽しむことができます。

 

オレッキエッテ

オレッキエッテはプッリャ特産のパスタです。親指の4分の3ほどの大きさしかないショートパスタで、リコッタチーズとトマトソースに和えたうえで、ブロッコリと合わせて食べることが一般的です。

 

肉の盛り合わせ

鶏の肝臓や手羽を子羊の腸で巻いたり、カットした豚肉でリコッタチーズを包んだりしたものを、串刺しにして焼いたプッリャの郷土料理。ボリューム満点で、肉の旨味を直に感じることができます。

 

―まとめ

イタリア各地には、それぞれ独自色が強い郷土料理があることを知っていただけたかと思います。今回ご紹介した郷土料理を抑えておくことで、本場イタリアに行った場合に美味しい体験ができるかもしれません。

 

種類豊富なイタリアのコーヒー

美食大国として知られるイタリア。美味しい料理やお酒が数多くありますが、実はコーヒーも非常に種類が豊富で美味しいんです。今回はそんなイタリアンコーヒーの魅力をご紹介します。

 

ーイタリアのコーヒーの種類

 

・カフェ

本場イタリアでは、カフェと言えばエスプレッソを指し、イタリア人にとって朝食には欠かせない存在です。またバールでは、日常的に最も飲まれていると言っても過言ではありません。

深煎りしたコーヒー豆を短時間で抽出して淹れるため、濃度が高い特徴があります。一般的なコーヒーカップに比べ、約半分ほどの大きさのカップで提供され、イタリア人はエスプレッソに砂糖をたっぷり溶かして一気に飲み干します。なお飲み慣れていない方には、少し苦いと感じる場合もあるので注意が必要です。焼き立てパンとの相性は抜群であり、次第にクセになる美味しさです。

 

・カフェ・マキアート

カフェ・マキアートは、エスプレッソにスチームミルク(蒸気で泡立てた牛乳)を混ぜたものです。本来は、エスプレッソにスプーン1杯のミルクを溶かしたものですが、エスプレッソとミルクを同じ割合で淹れるケースもあります。エスプレッソと同様、小さなカップで提供されます。ミルクが入っていますが、エスプレッソ本来の風味を十分に感じることができます。

 

・カプチーノ

カプチーノは、日本でも馴染みの深いコーヒーとして知られています。カプチーノもエスプレッソにスチームミルクを入れたものですが、カフェ・マキアートに比べミルクが多く入っているため、口当たりが良いことが特徴です。この特徴が、日本人に馴染みが深い理由となっています。

イタリアではカプチーノを、食後の満腹状態で飲むことはタブーとされています。主に、昼間のゆったりとした時間に、会話を楽しみながらゆっくりと飲むことが一般的です。

 

・カプチーノ・ディカフェイナート

カプチーノ・ディカフェイナートは、カフェイン抜きのカプチーノです。昨今の健康志向に合わせて作られたものと思われがちですが、ディカフェイナートは30年前からすでにイタリアで飲まれていました。カフェインが苦手な方や、妊娠中の方によく飲まれているものです。

 

・カフェ・ドルヅォ

カフェ・ドルヅォは、ディカフェイナートと同じくカフェイン抜きのコーヒーです。大きな特徴は、コーヒー豆ではなく、大麦を焙煎して作られていること。また時間をかけて焙煎するため、深みのある味に仕上がっています。

イタリアでカフェ・ドルヅォは、は、カフェイン抜きのため多くの子どもに親しまれています。ミルクをたっぷり入れて飲むことが一般的な飲み方です。

 

・カフェ・ラテ

カフェ・ラテもカプチーノ同様、日本でもよく飲まれているコーヒーです。エスプレッソとミルクを混ぜて作られているのが特徴です。なおカフェ・ラテはイアリア語で、フランス語ではカフェ・オレと呼ばれています。

カフェ・ラテは、観光客の多い地域で提供されますが、一般的なメニューではありません。本場イタリアでは先述した、カフェ・マキアートが提供されるケースが多いです。

 

・ラテ・マキアート

ラテ・マキアートは、ミルクが主役、エスプレッソが脇役、といった特徴があるコーヒーです。スチームミルクに少量のエスプレッソを注いで作られます。その際、ミルクとエスプレッソの間に層ができるよう、エスプレッソを静かに注ぎます。ラテ・マキアートはやさしい味わいのため、イタリアで朝食の時間によく飲まれています。

 

・カフェ・ルンゴ

カフェ・ルンゴは、通常のエスプレッソで抽出しているお湯の量を、2倍にして作られるエスプレッソのことです。イタリア語でルンゴは、長いという意味を持ち、抽出時間が長いことからルンゴと名付けられました。

特徴は、日本の喫茶店などでよく飲まれているコーヒーに味が近いことがあげられます。しかしイタリア人は、カフェ・ルンゴをあまり飲むことはないようです。

 

・カフェ・リストレット

カフェ・リストレットは、通常のエスプレッソよりも濃いエスプレッソのことです。コーヒー豆の量は同じですが、半分のお湯で抽出するため、より強いコーヒー本来の風味を感じることができます。

イタリアでは、エスプレッソは飲まないけどリストレットは飲むという人がいるほど、好みがわかれるコーヒーです。

 

・カフェ・コン・パンナ

正式名称は、エスプレッソ・コン・パンナで、パンナはイタリア語でホイップクリームのことを指します。その名の通り、エスプレッソにホイップクリームをたっぷり乗せたものであり、イタリアではデザート感覚で飲まれていることが特徴。

イタリア人のカフェ・コン・パンナの飲み方は、スプーンでホイップクリームとエスプレッソを同時にすくって飲むことが一般的とされています。また好みによって、ココアパウダーをかける場合もあるようです。

 

・カフェ・コレット

カフェ・コレットは、エスプレッソに香りの良いリキュールを加えたものです。主にサンブーカやグラッパ、ゴッチェ・インペリアーニといった、アルコール度数が高いものが使われます。消化を助ける効果があるため、イタリアでは食後酒としてのまれることが多いです。

 

・カフェ・シェケラート

カフェ・シェケラートは、イタリア式アイスコーヒーです。カクテルを作る時に使うシェーカーに砂糖と氷を入れ、エスプレッソを入れてシェイクしたものを指します。急激に冷却し、シェイクすることで、カプチーノのように泡立つのが特徴です。

 

・ビチェリン

ビチェリンは、ワイングラスを小さくしたようなカップに、エスプレッソとチョコレート、生クリームを混ぜたものです。イタリアでは、デザート感覚で飲まれていることが特徴の、贅沢なコーヒーです。

 

・マロッキーノ

マロッキーノは、エスプレッソにチョコレートとココアパウダー、泡立てたミルクを注いだコーヒーです。こちらもデザート感覚で飲まれていますが、イタリアでは一気飲みすることが一般的な飲み方となります。

 

ーイタリアのおすすめコーヒーブランド

・キンボ

イタリアで最も人気が高いコーヒーブランドです。ナポリ発祥で、ホテル、レストラン、カフェでも提供され、世界中のコーヒーファンから高い支持を得ています。

 

・ラバッツア

トリノが発祥の、100年以上続く老舗ブランドです。ラバッツアは、イタリアでもかなりのシェアをほこり、世界中から厳選されたコーヒー豆を使用しています。深いコクの中にもコーヒー本来の甘みを感じることができ、イタリア本来のコーヒーを味わいたい方にはオススメです。

 

ーまとめ

イタリアでは様々な種類のコーヒーが様々な飲み方で嗜まれています。日本では馴染みのないコーヒーもあるので、ご興味のある方は、ぜひ本場イタリアでその味を楽しんでみてください。

 

知る人ぞ知るイタリアンスイーツ16選

イタリアといえば世界に誇る美食の国ですが、実は料理だけでなく、スイーツも非常にバラエティに富み、絶品が揃っているんです。日本でも定番のものから隠れた逸品まで、おすすめのイタリアンスイーツ16選をご紹介します。

 

ーティラミス

ティラミスは、日本でもよく知られているイタリアンスイーツで、ベネトが発祥です。スポンジケーキにエスプレッソを染み込ませ、カスタードソースとマスカルポーネチーズを混ぜたクリームを入れ、仕上げにココアパウダーを振りかけて作ります。本場イタリアでは、フルーツや野菜が用いられることもあります。

ちなみにティラミスはイタリア語でtira(引っ張って)mi(私を)su(上へ)と綴り、「私を元気づけて」という意味を持つケーキです。

 

ーパンナコッタ

パンナコッタは、生クリームをたっぷり使った、口当たりのよいイタリアンスイーツです。イタリア語でパンナ(生クリーム)コッタ(煮る)という意味を持ち、生クリーム、牛乳、砂糖を混ぜたものを、ゼラチンやデンプンで固めて作られます。

生クリームはカロリーが高く高価なことから、日本では無糖練乳で代用されることが多いです。

 

ーカンノーロ

カンノーロはシチリア島を代表する有名なスイーツです。小麦粉ベースの生地を円筒に巻いて揚げ、その中にシチリア特産ワイン、リコッタチーズ、チョコレートなどを混ぜたクリームを詰めて作ります。

カンノーロはもともとイタリア以外の国ではそれほど認知度が高くありませんでしたが、映画『ゴッド・ファーザー』に登場したことで、一気に認識度が高まりました。

 

ースフォリアテッラ

スフォリアテッラは、貝に似た、何層もあるパイ生地の中に、リコッタチーズやカスタードクリーム、アーモンドクリームを入れてオーブンで焼き上げて作ります。本場イタリアでは非常に人気があり、高級リストランテのデザートメニューにも登場します。

もともとはアマルフィ地方の聖ローサ修道院が発祥といわれ、その名にちなんで「聖(サンタ)ローサ」と呼ばれていました。オリジナルはドライフルーツや砂糖、リモンチェッロを入れていましたが、徐々に手が加えられ、現在の形になったのです。

 

ーアマレッティ

アマレッティは、通常のクッキーより軽い食感が特徴のイタリアンスイーツです。小麦粉の代わりにアーモンドパウダーを用いて作る焼き菓子で、一般的なクッキーと違いバターやマーガリン、ショートニングを使いません。なおアマレッティは、フランスで有名な、マカロンの原型となったお菓子です。

 

ージェラート

ジェラートは、日本でも認識度が高いイタリアンスイーツです。フィレンツェが発祥で、果汁や果肉、牛乳、コーヒー、砂糖、香草などを混ぜ、それを凍らせて作ります。シチリアでは、菓子パンに挟んで食べることもあります。

アイスクリームとの違いとして、含まれる空気が少ないため密度が濃く、風味にコクがあります。また乳脂肪分は4%から8%で、アイスクリームよりも低カロリーなことが特徴です(アイスクリームの乳脂肪分は8%以上あります)。

 

ーアフォガート

アフォガートはバニラ味のジェラートに飲み物をかけて食べるイタリアンスイーツです。かける飲み物は主に、エスプレッソや紅茶、リキュールがあげられます。日本では、バニラアイスクリームに、エスプレッソをかけたコーヒーアフォガートが有名です。

 

ースプモーニ

スプモーニは、さまざまな色や風味のアイスクリームを重ね、果物の砂糖漬けやナッツ類を加えて作るイタリアンスイーツです。

一般的には3種類のアイスクリームを使い、主にサクランボ、ピスタチオ、バニラ、チョコレートなどを用います。また赤、緑、茶色の組み合わせで作ることが伝統で、果物やナッツの層に、カットしたサクランボを加えるケースもあります。

スプモーニは日本であまり馴染みがありませんが、米国やアルゼンチンといった、イタリア系移民の多い国で高い人気を誇るイタリアンスイーツです。

 

ーパネトーネ

パネトーネは、イタリア伝統の菓子パンの一種です。パネトーネ種酵母を用いて発酵させた生地の中に、ドライフルーツを混ぜて焼き上げた柔らかい口溶けが特徴。パネトーネは少しトーストして、生クリームやバニラアイスを添えて食べることが一般的です。

 

ーザバイオーネ

ザバイオーネは、ピエモンテ名物のイタリアンスイーツです。卵黄に砂糖を加え、シチリア特産ワイン、スペイン特産ワイン、白ワインなどの洋酒を混ぜて煮詰めたカスタードクリームです。デザートとしてそのまま食べたり、ティラミスに用いられたり、パネトーネに添えられることもあります。

 

ーズゴット

ズゴットは、フィレンツェが発祥のケーキです。ドーム型が特徴で、半解凍させたアイスクリームケーキや、フルーツタルトを用いたイタリアンスイーツとして知られています。

14世紀頃のルネサンス期に誕生しましたが、長い間忘れられていました。しかし1950年代に、フィレンツェの老舗洋菓子店がズゴットのレシピを復元したことで、再び注目を浴びます。

焼いたスポンジケーキにさまざまな洋酒を染み込ませ、ナッツ類、果実の砂糖漬け、リコッタチーズ、ヨーグルトを詰め、型に入れて凍らせます。その後、半解凍にし、粉砂糖、ココアパウダー、チョコレートをかけて食べることが一般的です。

 

ートルタ・カプレーゼ

トルタ・カプレーゼは、カプリ島が発祥のケーキです。チョコレート、アーモンド、バター、砂糖、卵白を混ぜて焼き上げます。

トルタ・カプレーゼの大きな特徴は、小麦粉類を使わずに作ることです。もともとは小さなティーショプで提供されていましたが世界的に有名となり、現在ではさまざまな格式のレストランメニューに加えられるまでになりました。

 

ーババ

ババはオーストリアが起源でその後、イタリアに普及したナポリ名産の焼き菓子です。イースト菌で膨らませた生地を円筒の型に入れて焼き、ラム酒ベースのシロップを染み込ませて作ります。お酒が入っていますが、本場イタリアでは子どもに人気のあるイタリアンスイーツです。

 

ーマチュドニア

マチュドニアは、さまざまな果物を用いて作られた、フルーツポンチのようなデザートです。日本のフルーツポンチと違って甘すぎず、さっぱりとした口当たりが特徴で、イタリアだけでなく、スペイン、フランス、ラテンアメリカなどで人気のあるスイーツです。

 

ーマルチパン

マルチパンは、パレルモ名物の洋菓子です。砂糖と挽いたアーモンドを練って作られ、餡に似た食感が特徴的で、独特の風味があります。

マルチパンは一般的に一口大で、さまざまな形や色のものがあります。野菜、果物、動物、人物といった形が定番ですが、薄く伸ばしてクリームの代用として、ケーキのデコレーションに用いられることもあります。

 

ーモンブラン

モンブランは栗をふんだんに使ったケーキで、日本でもよく食べられています。ピエモンテの家庭菓子が原型とされ、当初は栗のペーストに生クリームを添えただけのものでした。その後、老舗カフェがこれをもとに発展させました。マロングラッセを潰してペースト状にしてかけ、その上にメレンゲ状にしたクリームをかけたのです。これが現在のモンブランとして認識されるようになりました。

最近ではコストを抑えるため、さつまいものクリームや白餡で代用されることもあり、これらもモンブランと呼ばれています。日本ではさつまいも、カボチャ、栗のクリームに抹茶を混ぜたモンブランや、ココアを混ぜたものもあります。

 

ーまとめ

イタリアンスイーツにはティラミスやジェラートのような有名なものだけではありません。非常にバリエーション豊かで、魅力的なスイーツがたくさんあります。スイーツが好きな方は、ぜひイタリアンスイーツの世界を探索してみてはいかがでしょうか。