日別アーカイブ: 2017年12月30日

イタリアンとフレンチの違いを分かりやすく解説

「イタリアンとフレンチの違いがわからない…」そう感じたことはありませんか?今回は、食材や料理、マナーから歴史にいたるまで、イタリアンとフレンチの違いを分かりやすく解説していきます。読み終わる頃には、誰かに教えてあげたくなるかもしれません。

 

―実は、イタリアンとフレンチは元々一緒

フレンチのルーツをたどると、原点はイタリアンです。1533年、フランスのアンリ2世にイタリアのカテリーナ・デ・メディチが嫁ぎました。その際、料理人、料理の技術、調理法、マナー、食器にいたるまで、イタリアからフランスに持ち込みました。

またカテリーナは、ピエスモンテ(砂糖菓子)などのお菓子や、音楽や劇を楽しむコラシヨンなども広め、フランスの菓子文化に大きな影響を与えたと言われています。

なおそれまでのフレンチは、フォークはおろか、スプーンも使わずに手づかみで食べることが一般的でした。これを見たイタリア出身のカテリーナは嘆き悲しみます。そこでカテリーナは料理の向上を図るため、日夜晩餐会を開きました。今まで、肉の塊やドロドロなシチュー、ゆで野菜など、質素なものしか食べてこなかったフランス人たちはカルチャーショックを受けます。

その後、宮殿お抱えの料理人たちは料理の腕をみがき、料理に情熱を注ぎました。その努力もあり、盛り付け方法や調味料も格段に進歩することになったのです。

1700年代にはマヨネーズやフォアグラが登場し、この頃にフランス料理はオートキュイジーヌと呼ばれ、フレンチの原型が完成します。質素であったフレンチは、イタリアンとの出会いにより、世界三大料理と称えられるようになったのです。

つまりイタリアンはフレンチのルーツでもあり、元々は一緒と言っても過言ではありません。

 

―食材と料理の違い

イタリアンはシンプル、フレンチはアレンジ

イタリアンは主にオリーブオイルやバルサミコを使い、食材本来の味を重視している傾向にあります。郷土料理や地方色の強い料理を現在まで守り続けてきたため、このような特徴があるのです。

一方フレンチは、バター、チーズ、生クリーム、ダシをとってソースを作ったうえで使うなど、食材にアレンジを加える特徴があります。酪農がさかんなため、乳製品を使ったレシピが多いのです。フレンチは郷土料理や地方色の強い料理をベースにしつつ、新たな料理を生み出そうとする特徴があるともいえるでしょう。

 

料理の違い

フルコースの品目は、フレンチのほうが若干多いことがあげられます。これには理由があり、「イタリアへの対抗意識」からきています。イタリアンとの出会いがきっかけでフレンチは大きく進歩しましたが、「イタリアには負けたくない」というフランスのプライドから、あえてフルコースの品目を多くしたのです。

炭水化物に関して、イタリアンでは主にパスタやピザ、フォカッチャなどが用いられています。フレンチではフランスパンといったパン類が一般的です。ソースを使った料理が多いので、残ったソースをパンに浸して食べることも目的の1つです。

また料理に使われる肉の種類は双方に差はなく、魚介類の種類はフレンチのほうが多い傾向にあります。

 

―テーブルマナーは全く違う

フォークの扱い方

イタリアンの場合、フォークを右手に持ち替えることはいけない事とされています。しかし、フォークの背中に料理を乗せて食べることは問題ありません。なお、リゾットをたべる際もフォークを使いましょう。ピザに関しても、できる限りナイフとフォークを使って食べることが望ましいとされています。ただし、どうしても食べにくい場合、手づかみでも問題ありません。

一方フレンチでは、フォークを持ち替えても問題はありませんが、フォークの背中に料理を乗せて食べるのはマナー違反となりますので注意が必要です。

 

スプーンの扱い方

スプーンの扱い方にも違いが見られます。イタリアンはスープを飲む際、スプーンを手前から奥に運んで飲みます。スープの残りが少なくなったら、皿の手前を少し浮かせてから飲みやすくします。フレンチの場合は反対に、スープを奥から手前側にすくってから、皿の奥側を浮かせて飲むことがマナーです。なおスープを飲む場合、音を立てて飲むと非常に印象が悪いため、注意しましょう。

 

パンの食べ方

イタリアンのパンの食べ方は、一口大にちぎり、塩が少量入っているオリーブオイルにひたして食べることが正解です。なお、料理で残ったソースなどをパンにつけて食べることも問題ありません。

一方フレンチの場合、ちぎったパンにバターナイフで切ったバターをつけて、一口で食べることがマナーとされています。フレンチでは一般的に、デザートが運ばれてくるまでパンを食べても良いとされています。そして料理で残ったソースをパンにつける時は、パンをフォークで刺してからソースにつけて食べることが正解です。なお、イタリアンでサラダを食べる場合、自分でオリーブオイルやバルサミコ酢、塩をかけて食べましょう。

 

食事が終わったら

イタリアンの場合、料理を食べ終わったら、ナイフとフォークを身体と垂直になるよう、縦にして並べるようにしましょう。フレンチでは、時計の針3時の位置に身体と平行となるように、横向きにして並べることが正解です。

 

―共通のマナー

グラス・カラトリー

乾杯をする際、グラスをぶつけることは正しいマナーではありません。グラスを目の高さまで持ち上げ、アイコンタクトをすることが正解です。また。ワインを注いでもらう時は、グラスに触れないことがマナーとなります。カラトリー(ナイフ、フォーク、スプーン)は外側から順番に使いましょう。

 

ナプキン

ナプキンの使い方は、注文をしてから広げます。二つ折りにしてから膝の上に広げ、汚れた部分が相手に見えないように、汚れを内側へ隠すことがマナーです。

よくある間違いは、ナプキンがあるのに自分のハンカチなどを使ってしまうことです。これは、「この店のナプキンは汚くて使いたくない」ととられてしまい、悪い印象を与えてしまうので注意が必要です。

また、食事が終わった後、ナプキンをキレイにたたむことも控えましょう。理由は、「料理が美味しくなかった」というサインだからです。したがってナプキンは、軽くたたんでテーブルの上に置くことがマナーです。

 

―まとめ

イタリアンとフレンチの歴史を知り、違いを知ることで、料理を食べる際も恥をかかず済みます。そしてなにより、料理を一層楽しくいただくことができるでしょう。

 

イタリア料理の歴史と伝統

イタリア料理は、実に2000年もの歴史があり、当時から非常に高度な食文化を持っていました。しかしイタリア料理の歴史を知っている人はそう多くありません。歴史や伝統を知ることで、より一層イタリア料理に対しての理解を深めることができるはずです。

 

―イタリア料理の起源と食材の起源

イタリア料理の起源

イタリア料理の歴史は非常に古く、古代ローマ時代にさかのぼります。当時のローマ人は食事の時間を大切にし、1日3食を取りいれるなど、食事にかける時間を大切にしていました。

またその内の1食を、現代にあたるプリモ、セコンドに似たコースで構成することで、2時間から3時間をかけてじっくり堪能していたのです。さらに古代ローマ人は、満腹になった場合であっても、食べたものを意図的に吐き出して空腹状態をつくりまた食べるといったことを行っていました。そういった背景から古代ローマの哲学者セネカは、「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べる」と表現しています。

当時の主食は、プルスと呼ばれる小麦粉を煮込んで作られたお粥です。料理に使う調味料は、魚を発酵、熟成させて作った魚醤に酷似したガルム、サーパと呼ばれる甘味料やハチミツなどが用いられていました。そして裕福なローマ人たちの間で、優秀な料理人を呼び寄せ、作らせた料理を客に自慢するといったことが流行していたのです。

以上のようにイタリア料理は2000年前にもかかわらず、非常に高度な食文化を持っていたのです。そしてチーズや牡蠣はローマ遠征の際、兵士のスタミナ食として携帯されていました。そのことが発端として、ローマ帝国の発展とともに欧州各地に普及し、他国の追従を許さないほどの食文化の発展に繋がったのです。

 

食材の起源

一方、イタリア料理の発展の裏には、歴史の表舞台に出ない人々の努力もあります。そして料理に使われる食材も、他国からの影響を受けたからこそといっても過言ではありません。特にアラビア人との接触は、イタリア料理の進歩に対して大きな影響を与えたのです

たとえば、オレンジ、サトウキビ、米やサフランといった食材です。イタリアの料理人たちがこれら未知の食材に関心を抱いたことで、イタリア料理全般に刺激をもたらし、さらなる進化を果たしました。また他の食材を作るための農業も発展するなど、料理以外の分野も飛躍し、確固たる地位を築きあげたのです。アラビア人の影響によりその後、米は広大な水田地帯で大規模な生産が始まり、シャーベットも普及するようになったのです。

 

―イタリア料理のその後

古代ローマ帝国は、476年にゲルマン民族の侵略により滅亡し、その後も多民族からの侵略を受け続けることになりました。しかしイタリア料理の文化や技術は、衰退することなく受け継がれています。

 

パスタとトマトの出会い

12世紀から13世紀になり、現在のパスタの原型として、手打ちの生パスタが誕生しました。そして14世紀には、パスタを専門に生産する業者も現れるようになり、生パスタをスープに入れたり、ゆであげたパスタをソースにからめたりと、一般家庭にも次第に普及することになったのです。

そして15世紀にはパスタの元祖である、棒状の乾燥パスタが作られます。16世紀にもなると、パスタ圧力機械が発明され、従来手作りされていたものを押し出す製法に変わりました。そして大航海時代を背景に、ナポリにトマトがたどり着きます。トマトは当初は観賞用として扱われていましたが、ナポリ人たちが品種改良を重ねることによって、18世紀に食用として扱われるようになったのです。結果、パスタとトマトの組み合わせは一気に広まり、現在に通じるイタリア料理の原型を形成するまでになります。

19世紀になると人工乾燥機が発明され、パスタの生産性が大きく向上することになります。生産性が大きく向上することにより、欧州各国だけでなく米国まで輸出されるようになったのです。それに合わせ、1880年から1920年の間に400万人の南イタリア人が米国に移り住み、イタリアの食文化も輸出するようになりました。そして米国に移り住んだ南イタリア人を原点として米国にイタリア料理が広がり、現在ではアメリカの第2の国民食として認識されるまでになったのです。

 

日本のパスタ事情

パスタが日本に初めて登場したのは、幕末の横浜外国人居留地です。その後、明治時代には輸入パスタが食べられていましたが、それは一部の愛好家の間だけであり、また一般的な普及はしていませんでした。

昭和30年にマカロニが発売されたことで、一般人にも広く認識されるようになり、日本でも大量生産が始まったのです。そして現在では、スパゲティーと呼ばれ多くの日本人に食べられる料理になりました。

 

―現在のイタリア料理の食文化・日本のイタリア料理

主食はパンの地域がほとんどですが、イタリア北部ではトウモロコシの粉から作ったポレンタを食べる地域もあります。またイタリア南部はトマトを多く使用する傾向があり、北部はバターや生クリームを主体として使う傾向があります。そして沿岸部では魚を食べますが、内陸部で食べることはほぼありません。

一方で、食事にワインを合わせることは共通しており、基本的にその土地独自のワインが飲まれる傾向があります。またコーヒーの消費量が多いことも特徴で、エスプレッソやカプチーノ、カフェラテなどが好んで飲まれているのです。

なお現在のイタリア料理は世界中において、中国料理に次いで食べられている料理となっているのです。近年は、イタリア料理の習慣や文化の崩壊に危機感を感じたスローフード協会が、スローフードの概念を発信しています。そうすることで、イタリア料理の風味や豊かさを再認識してもらおうと、さまざまな活動をしているのです。以上のことによりこれからの時代もイタリア料理は、高度な食文化の発信基地といえるでしょう。そして2010年にイタリア料理は、ユネスコの無形文化遺産として登録されました。

 

日本のイタリア料理

イタリア料理は日本では、イタリアンやイタ飯と呼ばれて多くの人に認識されています。日本で認識されている特徴として、トマトやオリーブオイルを使った料理が多い傾向にあります。しかし実はこの特徴は、ナポリといった南イタリアの料理の特徴です。

先述したようにイタリア料理は、地域によって使う食材が異なります。したがってイタリア料理の総体としては、素朴な料理が多いといえるでしょう。

 

―まとめ

イタリア料理のテーブルマナーなどは知っていても、イタリア料理の歴史や伝統を知っている人はそう多くありません。しかしその歴史や伝統を知ることで、なぜこういった調理法をするのか、なぜこういった食材を使うのかなどが腑に落ちて理解することができるのです。したがって、知っておいて決して損ではないでしょう。

 

イタリアの地域ごとの郷土料理を紹介

イタリアには、地域ごとに独自色が濃い郷土料理があります。同じイタリアでも、別の国の料理と錯覚してしまうほどの違いがあります。しかし、今回ご紹介する郷土料理を知っていただくことで、より深いイタリアンの世界を楽しむことができるでしょう。

 

―カンパーニャの郷土料理

スパゲッティ・アッラ・ペスカトーレ

スパゲッティ・アッラ・ペスカトーレは、日本でもペスカトーレの名でよく知られているパスタです。イタリア語で漁師の意味を持ち、もともとは漁師の料理でした。売れ残った魚介類を、トマトソースで煮込んだことが発祥とされています。日本のアラ汁と同等の大衆料理です。

一般的にはホタテ、ムール貝、エビ、イカ、アサリ等が使われています。しかし本来はレシピに決まりはなく、魚介類をトマトソースで調理した料理をペスカトーレと呼ぶケースが多いです。

トマトソースとオリーブオイルのさっぱりした口当たりが日本人の口にも合うため、多くの人に愛されているナポリの郷土料理です。

 

スパゲッティ・アッラ・ボンゴレ

日本ではアサリを多く使い、ボンゴレと呼ばれ親しまれているパスタです。本場イタリアではヨーロッパアサリの他に、ガリアハマグリなどの2枚貝がふんだんに使われています。

ボンゴレには2種類あり、1つはトマトソースを使ったボンゴレ・ロッソ(赤)。2つ目は、トマトソースを使わないボンゴレ・ビアンコ(白)です。なお最近では、バジリコを使ったボンゴレ・ヴェルデ(緑)や、イカスミを用いて作られるボンゴレ・ネロ(黒)などを提供するお店も増えています。

ボンゴレを作る際は、スパゲッティやスパゲッティーニ、リングイネといったロングパスタが使われています。

 

アクアパッツァ

アクアパッツァは、魚介類をトマトやオリーブオイル、ニンニク、イタリアンパセリ、水で煮込んだスープです。用いられる魚はスズキやタラ、メバル、タイといった白身魚であり、貝類は主にアサリやムール貝です。なお、好みによってタコやイカを加える時もあり、パスタやパンと一緒に提供されます。

 

―シチリアの郷土料理

アランチーニ

アランチーニは、シチリア名物のライスコロッケです。形がオレンジに似ているためアランチーニと呼ばれています。湯炊きした米に溶き卵とパルミジャーノ・レッジャーノチーズ、塩コショウを混ぜて丸め、パン粉をまぶして揚げたものであり、直径は10センチ程度になります。

 

カポナータ

カポナータは、素揚げしたナスの甘酢煮です。揚げナスにトマトやタマネギ、ズッキーニ、セロリ、ケッパー等の野菜を加え、白ワインビネガーで煮込んで砂糖、塩で味付けしたシチリアの伝統料理です。なお、先述した野菜の他に、タコやエビなどの魚介類を入れるケースもあります。

 

マグロのオーブン焼き

シチリアではマグロの水揚げが豊富です。そのため、マグロをお肉の感覚で食べます。主に赤身をステーキにしたり、グリルにしたりして食べられています。

 

ナスのインボルティーニ

シチリアはナスも豊富にとれるため、ナスを使った料理が多いです。ナスのインボルティーニも、シチリアを代表する郷土料理。なおインボルティーニは、イタリア語で包むまたは焼くという意味を持っています。ナスにトマトやチーズ、ドライフルーツ、パン粉などを巻き込み、焼いたり煮込んだりすることが特徴です。

 

カンノーロ

カンノーロは数あるシチリアのお菓子の中でも最も有名です。薄く延ばした小麦生地を筒状に揚げ、リコッタチーズと砂糖を混ぜてクリーム状にしたものを中に詰めたものです。もともとは謝肉祭を祝って作られていましたが、現在は年間を通して食べられます。

 

―ピエモンテの郷土料理

野菜のバーニャカウダー

生野菜のスティックを、アンチョビ、ニンニクとオリーブオイルで作ったソースに浸して食べるピエモンテの郷土料理です。主にジャガイモやカリフラワー、セロリ、カブといった野菜が用いられます。またカルドゴッボ、トピナンブールなどの地元野菜を使う場合もあります。

 

ジャンドゥイオット

ジャンドゥイオットは、ボートを裏返した時の形にそっくりなことが特徴のチョコレート菓子です。砂糖、ココア、ヘーゼルナッツクリームを混ぜ合わせて作ります。

 

パンナコッタ

パンナコッタは、トリノが発祥のお菓子です。本来は生クリームがなく、牛乳の上澄みとデンプンを一緒に煮込んで固めた質素なものでした。現在では、生クリームと牛乳、砂糖を混ぜて火にかけ、ゼラチンで固めて作られています。

 

ビチェリン

ビチェリンはエスプレッソ、チョコレート、ミルク、ホイップクリーム、砂糖を用いて作られるチョコレート飲料です。トリノが原産の温かい飲み物であり、イタリア初代首相のお気に入りでした。

 

―ロンバルディアの郷土料理

ミラノ風カツレツ

ミラノ風カツレツは、リゾットと並ぶロンバルディア州ミラノの郷土料理です。子牛のロース肉に溶き卵とパン粉をまぶし、バターをたっぷり用いてキツネ色に揚げて作ります。高級なお店では骨付きのロース肉を使い、大衆向けのお店では、モモ肉の薄切りを使う場合が多いことが特徴です。肉の旨味に加え、パン粉とバターの香りが食欲をそそります。

 

ミラノ風リゾット

ミラノ風リゾットは、ミラノ風カツレツと共に有名な郷土料理です。サフランを用いて作られるため、黄金色であることが特徴の郷土料理です。結婚式を邪魔しようと、リゾットにサフランを入れ恐る恐る食べてみると、美味しかったというユニークな由来があります。

 

ミネストローネ

日本でもよく食べられている、さまざまな野菜を使ったスープです。ニンジン、タマネギ、セロリ、炒めたベーコンに香料を加え、くたくたになるまで煮込んで作ります。本場ではインゲン豆、トマト、ニンジン、タマネギが用いられ、好みによって米やパスタを加えて調理されることが一般的です。

 

ティラミス

日本でも馴染みの深い、定番のデザート。スポンジケーキにエスプレッソを染み込ませ、ロンバルディア州特産のマスカルポーネチーズに、カスタードソースを合わせたクリームを流し固めて作ります。ファミリーレストランでも手軽に食べられることから、現在でも絶大な人気を誇っています。

 

パネトーネ

パネトーネはミラノが発祥のお菓子であり、イタリア中でクリスマスの定番としても食べられています。パネトーネは室内保存の場合、3ヶ月~半年も保存が効くという、驚きの特徴を持っています。食べ方は少し焼いてから、生クリームやバニラアイスを添えることが一般的です。

 

―ヴェネチアの郷土料理

イワシのマリネ

ヴェネチアの郷土料理といえば、イワシのマリネが筆頭にあげられます。イタリアコース料理の前菜として、外せない料理です。イワシに衣をまぶして揚げ、タマネギ、ワインビネガー、レーズン等と和えてマリネしたものです。

 

イカスミパスタ

イカスミパスタは、ヴェネチアを代表する郷土料理のパスタであり、真っ黒な見た目が特徴的です。白ワインとトマトを少し加えることで、イカスミの生臭さが抑えられています。見た目に反して、非常に美味しいパスタとして人気があります。

 

―プッリャの伝統料理

ブッラータチーズとトマトのマリネ

水牛のモッツアレラチーズ、トマトをビネガーで和えたプッリャの伝統料理です。野菜や果物との相性が抜群で、合わせて食べると全く違った美味しさを楽しむことができます。

 

オレッキエッテ

オレッキエッテはプッリャ特産のパスタです。親指の4分の3ほどの大きさしかないショートパスタで、リコッタチーズとトマトソースに和えたうえで、ブロッコリと合わせて食べることが一般的です。

 

肉の盛り合わせ

鶏の肝臓や手羽を子羊の腸で巻いたり、カットした豚肉でリコッタチーズを包んだりしたものを、串刺しにして焼いたプッリャの郷土料理。ボリューム満点で、肉の旨味を直に感じることができます。

 

―まとめ

イタリア各地には、それぞれ独自色が強い郷土料理があることを知っていただけたかと思います。今回ご紹介した郷土料理を抑えておくことで、本場イタリアに行った場合に美味しい体験ができるかもしれません。

 

種類豊富なイタリアのコーヒー

美食大国として知られるイタリア。美味しい料理やお酒が数多くありますが、実はコーヒーも非常に種類が豊富で美味しいんです。今回はそんなイタリアンコーヒーの魅力をご紹介します。

 

ーイタリアのコーヒーの種類

 

・カフェ

本場イタリアでは、カフェと言えばエスプレッソを指し、イタリア人にとって朝食には欠かせない存在です。またバールでは、日常的に最も飲まれていると言っても過言ではありません。

深煎りしたコーヒー豆を短時間で抽出して淹れるため、濃度が高い特徴があります。一般的なコーヒーカップに比べ、約半分ほどの大きさのカップで提供され、イタリア人はエスプレッソに砂糖をたっぷり溶かして一気に飲み干します。なお飲み慣れていない方には、少し苦いと感じる場合もあるので注意が必要です。焼き立てパンとの相性は抜群であり、次第にクセになる美味しさです。

 

・カフェ・マキアート

カフェ・マキアートは、エスプレッソにスチームミルク(蒸気で泡立てた牛乳)を混ぜたものです。本来は、エスプレッソにスプーン1杯のミルクを溶かしたものですが、エスプレッソとミルクを同じ割合で淹れるケースもあります。エスプレッソと同様、小さなカップで提供されます。ミルクが入っていますが、エスプレッソ本来の風味を十分に感じることができます。

 

・カプチーノ

カプチーノは、日本でも馴染みの深いコーヒーとして知られています。カプチーノもエスプレッソにスチームミルクを入れたものですが、カフェ・マキアートに比べミルクが多く入っているため、口当たりが良いことが特徴です。この特徴が、日本人に馴染みが深い理由となっています。

イタリアではカプチーノを、食後の満腹状態で飲むことはタブーとされています。主に、昼間のゆったりとした時間に、会話を楽しみながらゆっくりと飲むことが一般的です。

 

・カプチーノ・ディカフェイナート

カプチーノ・ディカフェイナートは、カフェイン抜きのカプチーノです。昨今の健康志向に合わせて作られたものと思われがちですが、ディカフェイナートは30年前からすでにイタリアで飲まれていました。カフェインが苦手な方や、妊娠中の方によく飲まれているものです。

 

・カフェ・ドルヅォ

カフェ・ドルヅォは、ディカフェイナートと同じくカフェイン抜きのコーヒーです。大きな特徴は、コーヒー豆ではなく、大麦を焙煎して作られていること。また時間をかけて焙煎するため、深みのある味に仕上がっています。

イタリアでカフェ・ドルヅォは、は、カフェイン抜きのため多くの子どもに親しまれています。ミルクをたっぷり入れて飲むことが一般的な飲み方です。

 

・カフェ・ラテ

カフェ・ラテもカプチーノ同様、日本でもよく飲まれているコーヒーです。エスプレッソとミルクを混ぜて作られているのが特徴です。なおカフェ・ラテはイアリア語で、フランス語ではカフェ・オレと呼ばれています。

カフェ・ラテは、観光客の多い地域で提供されますが、一般的なメニューではありません。本場イタリアでは先述した、カフェ・マキアートが提供されるケースが多いです。

 

・ラテ・マキアート

ラテ・マキアートは、ミルクが主役、エスプレッソが脇役、といった特徴があるコーヒーです。スチームミルクに少量のエスプレッソを注いで作られます。その際、ミルクとエスプレッソの間に層ができるよう、エスプレッソを静かに注ぎます。ラテ・マキアートはやさしい味わいのため、イタリアで朝食の時間によく飲まれています。

 

・カフェ・ルンゴ

カフェ・ルンゴは、通常のエスプレッソで抽出しているお湯の量を、2倍にして作られるエスプレッソのことです。イタリア語でルンゴは、長いという意味を持ち、抽出時間が長いことからルンゴと名付けられました。

特徴は、日本の喫茶店などでよく飲まれているコーヒーに味が近いことがあげられます。しかしイタリア人は、カフェ・ルンゴをあまり飲むことはないようです。

 

・カフェ・リストレット

カフェ・リストレットは、通常のエスプレッソよりも濃いエスプレッソのことです。コーヒー豆の量は同じですが、半分のお湯で抽出するため、より強いコーヒー本来の風味を感じることができます。

イタリアでは、エスプレッソは飲まないけどリストレットは飲むという人がいるほど、好みがわかれるコーヒーです。

 

・カフェ・コン・パンナ

正式名称は、エスプレッソ・コン・パンナで、パンナはイタリア語でホイップクリームのことを指します。その名の通り、エスプレッソにホイップクリームをたっぷり乗せたものであり、イタリアではデザート感覚で飲まれていることが特徴。

イタリア人のカフェ・コン・パンナの飲み方は、スプーンでホイップクリームとエスプレッソを同時にすくって飲むことが一般的とされています。また好みによって、ココアパウダーをかける場合もあるようです。

 

・カフェ・コレット

カフェ・コレットは、エスプレッソに香りの良いリキュールを加えたものです。主にサンブーカやグラッパ、ゴッチェ・インペリアーニといった、アルコール度数が高いものが使われます。消化を助ける効果があるため、イタリアでは食後酒としてのまれることが多いです。

 

・カフェ・シェケラート

カフェ・シェケラートは、イタリア式アイスコーヒーです。カクテルを作る時に使うシェーカーに砂糖と氷を入れ、エスプレッソを入れてシェイクしたものを指します。急激に冷却し、シェイクすることで、カプチーノのように泡立つのが特徴です。

 

・ビチェリン

ビチェリンは、ワイングラスを小さくしたようなカップに、エスプレッソとチョコレート、生クリームを混ぜたものです。イタリアでは、デザート感覚で飲まれていることが特徴の、贅沢なコーヒーです。

 

・マロッキーノ

マロッキーノは、エスプレッソにチョコレートとココアパウダー、泡立てたミルクを注いだコーヒーです。こちらもデザート感覚で飲まれていますが、イタリアでは一気飲みすることが一般的な飲み方となります。

 

ーイタリアのおすすめコーヒーブランド

・キンボ

イタリアで最も人気が高いコーヒーブランドです。ナポリ発祥で、ホテル、レストラン、カフェでも提供され、世界中のコーヒーファンから高い支持を得ています。

 

・ラバッツア

トリノが発祥の、100年以上続く老舗ブランドです。ラバッツアは、イタリアでもかなりのシェアをほこり、世界中から厳選されたコーヒー豆を使用しています。深いコクの中にもコーヒー本来の甘みを感じることができ、イタリア本来のコーヒーを味わいたい方にはオススメです。

 

ーまとめ

イタリアでは様々な種類のコーヒーが様々な飲み方で嗜まれています。日本では馴染みのないコーヒーもあるので、ご興味のある方は、ぜひ本場イタリアでその味を楽しんでみてください。

 

知る人ぞ知るイタリアンスイーツ16選

イタリアといえば世界に誇る美食の国ですが、実は料理だけでなく、スイーツも非常にバラエティに富み、絶品が揃っているんです。日本でも定番のものから隠れた逸品まで、おすすめのイタリアンスイーツ16選をご紹介します。

 

ーティラミス

ティラミスは、日本でもよく知られているイタリアンスイーツで、ベネトが発祥です。スポンジケーキにエスプレッソを染み込ませ、カスタードソースとマスカルポーネチーズを混ぜたクリームを入れ、仕上げにココアパウダーを振りかけて作ります。本場イタリアでは、フルーツや野菜が用いられることもあります。

ちなみにティラミスはイタリア語でtira(引っ張って)mi(私を)su(上へ)と綴り、「私を元気づけて」という意味を持つケーキです。

 

ーパンナコッタ

パンナコッタは、生クリームをたっぷり使った、口当たりのよいイタリアンスイーツです。イタリア語でパンナ(生クリーム)コッタ(煮る)という意味を持ち、生クリーム、牛乳、砂糖を混ぜたものを、ゼラチンやデンプンで固めて作られます。

生クリームはカロリーが高く高価なことから、日本では無糖練乳で代用されることが多いです。

 

ーカンノーロ

カンノーロはシチリア島を代表する有名なスイーツです。小麦粉ベースの生地を円筒に巻いて揚げ、その中にシチリア特産ワイン、リコッタチーズ、チョコレートなどを混ぜたクリームを詰めて作ります。

カンノーロはもともとイタリア以外の国ではそれほど認知度が高くありませんでしたが、映画『ゴッド・ファーザー』に登場したことで、一気に認識度が高まりました。

 

ースフォリアテッラ

スフォリアテッラは、貝に似た、何層もあるパイ生地の中に、リコッタチーズやカスタードクリーム、アーモンドクリームを入れてオーブンで焼き上げて作ります。本場イタリアでは非常に人気があり、高級リストランテのデザートメニューにも登場します。

もともとはアマルフィ地方の聖ローサ修道院が発祥といわれ、その名にちなんで「聖(サンタ)ローサ」と呼ばれていました。オリジナルはドライフルーツや砂糖、リモンチェッロを入れていましたが、徐々に手が加えられ、現在の形になったのです。

 

ーアマレッティ

アマレッティは、通常のクッキーより軽い食感が特徴のイタリアンスイーツです。小麦粉の代わりにアーモンドパウダーを用いて作る焼き菓子で、一般的なクッキーと違いバターやマーガリン、ショートニングを使いません。なおアマレッティは、フランスで有名な、マカロンの原型となったお菓子です。

 

ージェラート

ジェラートは、日本でも認識度が高いイタリアンスイーツです。フィレンツェが発祥で、果汁や果肉、牛乳、コーヒー、砂糖、香草などを混ぜ、それを凍らせて作ります。シチリアでは、菓子パンに挟んで食べることもあります。

アイスクリームとの違いとして、含まれる空気が少ないため密度が濃く、風味にコクがあります。また乳脂肪分は4%から8%で、アイスクリームよりも低カロリーなことが特徴です(アイスクリームの乳脂肪分は8%以上あります)。

 

ーアフォガート

アフォガートはバニラ味のジェラートに飲み物をかけて食べるイタリアンスイーツです。かける飲み物は主に、エスプレッソや紅茶、リキュールがあげられます。日本では、バニラアイスクリームに、エスプレッソをかけたコーヒーアフォガートが有名です。

 

ースプモーニ

スプモーニは、さまざまな色や風味のアイスクリームを重ね、果物の砂糖漬けやナッツ類を加えて作るイタリアンスイーツです。

一般的には3種類のアイスクリームを使い、主にサクランボ、ピスタチオ、バニラ、チョコレートなどを用います。また赤、緑、茶色の組み合わせで作ることが伝統で、果物やナッツの層に、カットしたサクランボを加えるケースもあります。

スプモーニは日本であまり馴染みがありませんが、米国やアルゼンチンといった、イタリア系移民の多い国で高い人気を誇るイタリアンスイーツです。

 

ーパネトーネ

パネトーネは、イタリア伝統の菓子パンの一種です。パネトーネ種酵母を用いて発酵させた生地の中に、ドライフルーツを混ぜて焼き上げた柔らかい口溶けが特徴。パネトーネは少しトーストして、生クリームやバニラアイスを添えて食べることが一般的です。

 

ーザバイオーネ

ザバイオーネは、ピエモンテ名物のイタリアンスイーツです。卵黄に砂糖を加え、シチリア特産ワイン、スペイン特産ワイン、白ワインなどの洋酒を混ぜて煮詰めたカスタードクリームです。デザートとしてそのまま食べたり、ティラミスに用いられたり、パネトーネに添えられることもあります。

 

ーズゴット

ズゴットは、フィレンツェが発祥のケーキです。ドーム型が特徴で、半解凍させたアイスクリームケーキや、フルーツタルトを用いたイタリアンスイーツとして知られています。

14世紀頃のルネサンス期に誕生しましたが、長い間忘れられていました。しかし1950年代に、フィレンツェの老舗洋菓子店がズゴットのレシピを復元したことで、再び注目を浴びます。

焼いたスポンジケーキにさまざまな洋酒を染み込ませ、ナッツ類、果実の砂糖漬け、リコッタチーズ、ヨーグルトを詰め、型に入れて凍らせます。その後、半解凍にし、粉砂糖、ココアパウダー、チョコレートをかけて食べることが一般的です。

 

ートルタ・カプレーゼ

トルタ・カプレーゼは、カプリ島が発祥のケーキです。チョコレート、アーモンド、バター、砂糖、卵白を混ぜて焼き上げます。

トルタ・カプレーゼの大きな特徴は、小麦粉類を使わずに作ることです。もともとは小さなティーショプで提供されていましたが世界的に有名となり、現在ではさまざまな格式のレストランメニューに加えられるまでになりました。

 

ーババ

ババはオーストリアが起源でその後、イタリアに普及したナポリ名産の焼き菓子です。イースト菌で膨らませた生地を円筒の型に入れて焼き、ラム酒ベースのシロップを染み込ませて作ります。お酒が入っていますが、本場イタリアでは子どもに人気のあるイタリアンスイーツです。

 

ーマチュドニア

マチュドニアは、さまざまな果物を用いて作られた、フルーツポンチのようなデザートです。日本のフルーツポンチと違って甘すぎず、さっぱりとした口当たりが特徴で、イタリアだけでなく、スペイン、フランス、ラテンアメリカなどで人気のあるスイーツです。

 

ーマルチパン

マルチパンは、パレルモ名物の洋菓子です。砂糖と挽いたアーモンドを練って作られ、餡に似た食感が特徴的で、独特の風味があります。

マルチパンは一般的に一口大で、さまざまな形や色のものがあります。野菜、果物、動物、人物といった形が定番ですが、薄く伸ばしてクリームの代用として、ケーキのデコレーションに用いられることもあります。

 

ーモンブラン

モンブランは栗をふんだんに使ったケーキで、日本でもよく食べられています。ピエモンテの家庭菓子が原型とされ、当初は栗のペーストに生クリームを添えただけのものでした。その後、老舗カフェがこれをもとに発展させました。マロングラッセを潰してペースト状にしてかけ、その上にメレンゲ状にしたクリームをかけたのです。これが現在のモンブランとして認識されるようになりました。

最近ではコストを抑えるため、さつまいものクリームや白餡で代用されることもあり、これらもモンブランと呼ばれています。日本ではさつまいも、カボチャ、栗のクリームに抹茶を混ぜたモンブランや、ココアを混ぜたものもあります。

 

ーまとめ

イタリアンスイーツにはティラミスやジェラートのような有名なものだけではありません。非常にバリエーション豊かで、魅力的なスイーツがたくさんあります。スイーツが好きな方は、ぜひイタリアンスイーツの世界を探索してみてはいかがでしょうか。